【12月1日 AFP】長引く干ばつ、山の頂にある雪の溶解、大洪水、予想できない気候パターン・・・。温室効果ガスの排出量が最も少ないアフリカ大陸で、気候変動の影響で多くの命が失われている。

 東アフリカ一帯では現在、約2300万人が飢餓(が)に直面している。雨期になっても雨が降らないため、作物は枯れ、家畜は死に、人々の生活手段が奪われている。 

 ケニア北部のトゥルカナ(Turkana)地方の住民たちは、深刻な干ばつで衰弱していたが、NGOが最近、彼らのやせ細った家畜を買い上げて処理し、その肉を住民たちに提供したため一息ついたところだ。

 自分の年齢を覚えていないというあるおばあさんは、「ヒトコブラクダが死んでいった1969年の大干ばつ以来のひどさだ」と話した。 

 ケニアとの国境に近いエチオピア南部では、農作物の不作で、数百万人が援助食糧に頼っている。ある農民は「天候が変わってしまった。雨の降り方はますます異常になり、収穫量はますます減っている」と嘆いた。 

 アフリカ大陸の温室効果ガスの排出量は世界全体の4%に過ぎないが、温暖化の影響には最も苦しんでいる。アフリカ諸国は先進国に対し、二酸化炭素排出量の大幅な削減とともに、気候変動対策費として数十億ドルの支援を求めている。 

■アフリカ各地の異常な現象

 米科学者らは最近、アフリカ最高峰キリマンジャロ(Mount Kilimanjaro)の雪が主に気候変動のために急速に溶けており、20年以内に完全に消滅する可能性があるとの調査結果を発表した。

 おそらく初めての事例だが、川が国境となっているウガンダとコンゴ(旧ザイール)で、気候変動の影響により国境線が変動している。ウガンダの科学者らによると、ルウェンゾリ(Rwenzori)山頂の雪の溶解により国境線となっているセムリキ川(River Semliki)の水量が増加し、1960年以降、川の流れる方向がたびたび変化しているという。

 南アフリカのクワズールー・ナタール(KwaZulu-Natal)州沖では、海水温度の上昇により、イワシの回遊が妨げられている。過去8年のうち4年で、沿岸までやってくるイワシの数が例年より少なかったという調査研究がある。

 アフリカ南部の一部地域では今年、1972年以来となる大規模な洪水に見舞われ、ナミビアでは少なくとも102人、アンゴラでは60人以上が死亡した。

■「責任をなすりつけあう」は犠牲者を増やすだけ

 ケニアのライラ・オディンガ(Raila Odinga)首相は、今月7日から18日までデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で開かれる国連気候変動枠組条約(UN Framework Convention on Climate ChangeUNFCCC)第15回締約国会議(COP15)において分別のある協議をするよう求めている。

 首相はAFPに対し、次のように語った。「強硬に進めたり、責任をなすりつけあう会議にしてはならない。この問題は非常に重要で、完全な協力が必要だ。北側(先進国)が南側(途上国)と協力しない場合、われわれすべてが犠牲者になり、皆『敗者』になる」(c)AFP/Boris Bachorz