【11月11日 AFP】中国国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)は11日、北京(Beijing)の天候調整当局が2度目の大吹雪を人工的に降らせたため、北京市が大混乱していると伝えた。これを受けて、大自然を操作する天候調整に対する議論が再燃している。

 1日の人工降雪で過去22年で最も早い初雪が降った北京市は、10日ふたたび銀世界に包まれた。

 1万5000人以上の作業員が出て市内の除雪を行ったものの、現在でも多くの道路が通行できなくなっており、河北(Hebei)省や山西(Shanxi)省から北京へ入る高速道路は通行止めとなっている。中国気象局(China Meteorological Administration)によれば、今後3日間でさらに降雪がある見込みだという。

■日常生活に支障、長期的な悪影響の懸念も

 市当局は干ばつ対策のための人工降雪と説明するが、住民らは突然の降雪で航空便の遅れや交通渋滞、学校の閉校などさまざまな不都合に見舞われたとして不満をもらしており、仮に当局に人工降雪の予定があるなら、あらかじめ告知をするべきだと訴える。

 また、専門家らは、人工降雪が日常生活に影響を及ぼすのにとどまらず、長期的にみて、好ましくない副作用が出ると指摘する。

 中国科学院(Chinese Academy of Sciences)大気物理研究所(Institute of Atmospheric Physics)のXiao Gang教授は、「天候調整をどの程度行うと大気に影響が出るのかについては誰もわからない」とした上で、「大気には不確実な事柄があまりに多すぎる。だから、あまり人工的な手法に頼ることは避けるべきだ」と述べた。

■融雪剤の大量散布で2次被害も?

 北京市の技術者、Zhao Nan氏によれば、10日に北京市内の道路に散布された融雪剤は5500トン以上に上った。これは年間割当量の半分近くの量で、「建物の鉄骨を腐食する」可能性もあるという。

 市当局の統計によれば、2005年には、北京市で使用された融雪剤により樹木1万本が枯れ、20万平方メートル分の草原が無くなったという。(c)AFP

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