【10月22日 AFP】イルカ漁を隠し撮りした米国のドキュメンタリー映画『ザ・コーブ(The Cove、入り江)』の舞台となった和歌山県太地町(Taiji)が、同作の制作者らを訴える可能性が出てきた。同地の漁業組合幹部が21日明らかにした。

 本作は21日、第22回東京国際映画祭(Tokyo International Film FestivalTIFF)で日本初公開を迎え、約300人の映画ファンや報道陣が鑑賞した。

 イルカ漁を強く支持する太地町の漁業組合は、映画祭主催者に抗議文を送付。匿名の幹部は、「映画には事実誤認があると聞いた。我々が見て問題があると判断した場合には、法的手段を含めた行動を取ることもある」と話した。

 Q&Aセッションでは、人目に付かない入り江で行われるイルカ漁の残虐なシーンに対する嫌悪感から、日本の伝統・漁業・食習慣に対する熱心な擁護まで、様々な意見が寄せられた。

 19歳のある学生は、「漁業従事者の仕事に関わることなので難しいが、日本のすべての伝統を守るべきという議論も難しいと思うし、伝統に誤りがあれば修正すべきだと思う」と感想を述べた。

 本作を撮ったルイ・シホヨス(Louie Psihoyos)監督は、映画は日本に対する攻撃ではなく、日本での配給について配給会社と交渉していると語った。

 シホヨス監督は次のように語っている。「映画の収益をすべて太地町の漁業従事者に渡してもよい。ただし、イルカ漁を止めることに同意するなら、だが」(c)AFP/Kyoko Hasegawa