【10月17日 AFP】英ロンドン(London)西部マリルボーン(Marylebone)のかつて教会として使われていた建物で「The Age of the Marvellous(驚異の時代)」と題された現代美術の展示会が開催され、十字架にはり付けにされたゴリラの作品などが展示された。

 ポール・フライヤー(Paul Fryer)氏の「Privilege of Dominion(支配特権)」という作品は、世界的に知られるマダム・タッソー(Madame Tussauds)ろう人形館に展示されているろう人形の製作技術を使って作られ、人間の毛髪で仕上げられており、恐ろしいほど本物のゴリラに似ている。
 
 フライヤー氏は、展示会場が元教会であるだけにこの作品は論争や怒りを招くかもしれないが、作品の目的は絶滅危惧(ぐ)種ニシローランドゴリラの窮状を訴えることにあるとしている。会場の建物は現在、教会としては使われておらず、各種のイベント用スペースとして使用されている。

「この作品は極めて挑発的で、悲しみや同情、怒りを呼び起こすかもしれない。しかしこの作品が、われわれが守りきれなかったものや、そのために永遠に失ったものを表現しているとするならば哀れみを呼び起こすだろう」(フライヤー氏)

 このほか、フライヤー氏が米国の死刑囚に黒人が多すぎることを表現するために製作した、電気椅子に座った黒人のキリストの作品も展示された。

 展覧会は、16、17世紀のエキゾチックで超自然的なものの驚きで満ちあふれた「好奇心の部屋」に着想を得たもので、すぐれた現代美術に贈られるターナー賞(Turner Prize)受賞者のキース・タイソン(Keith Tyson)氏のセイウチに乗った女性の作品など、16人の作家の60点以上の作品が展示された。(c)AFP