海底の地震探査、シロナガスクジラの生態系に影響
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【9月24日 AFP】石油・ガス採掘のための海底の地震探査が希少な世界最大の動物シロナガスクジラの生態系を乱している。このような報告が23日、英国王立協会(Royal Society)の専門誌「バイオロジー・レターズ(Biology Letters)」に発表された。
スイス・チューリヒ大学(Zurich University)と米コーネル大学鳥類学研究所(Cornell Laboratory of Ornithology)の研究者らは2004年8月、シロナガスクジラの餌場となっているカナダのセントローレンス(St. Lawrence)湾で、11日間にわたりシロナガスクジラの鳴き声を録音する実験を行った。
その結果、海底に音響パルスを送り反響音で地勢図をとらえる小中規模の装置「スパーカー」が利用された日には、シロナガスクジラの鳴き声が通常の2.5倍以上も確認された。これは人間に例えると、道路工事用ハンマーを使用している隣で言いたいことを叫んだり繰り返したりしなければならない状態に近いという。
今後の調査で、シロナガスクジラが音響パルスによりストレスなどの問題を受けているかどうかが分かるという。
単独で行動する傾向が強く常に泳ぎ続けているシロナガスクジラにとって、餌場は小さな領域に集まり交流する数少ない場所となっており、音響パルスが交尾の妨げになる可能性もあると研究は指摘する。石油・ガス探査が行われる領域は深部におよぶようになっているが、それがクジラの食性や回遊性に与える影響についてはほとんど明らかになっていない。
同誌に発表された4月に実施された実験によると、超音波探査機によって繰り返し発せられる非常に大きな音波により、バンドウイルカの聴力が一時的に失われることが確認されている。
体長33メートル、体重180トンにもなるシロナガスクジラは、1966年に捕獲禁止措置がとられるまで乱獲により絶滅寸前に追いやられ、2002年のカナダの研究によると、現在の生息数は5000~1万2000頭と推計されている。(c)AFP
スイス・チューリヒ大学(Zurich University)と米コーネル大学鳥類学研究所(Cornell Laboratory of Ornithology)の研究者らは2004年8月、シロナガスクジラの餌場となっているカナダのセントローレンス(St. Lawrence)湾で、11日間にわたりシロナガスクジラの鳴き声を録音する実験を行った。
その結果、海底に音響パルスを送り反響音で地勢図をとらえる小中規模の装置「スパーカー」が利用された日には、シロナガスクジラの鳴き声が通常の2.5倍以上も確認された。これは人間に例えると、道路工事用ハンマーを使用している隣で言いたいことを叫んだり繰り返したりしなければならない状態に近いという。
今後の調査で、シロナガスクジラが音響パルスによりストレスなどの問題を受けているかどうかが分かるという。
単独で行動する傾向が強く常に泳ぎ続けているシロナガスクジラにとって、餌場は小さな領域に集まり交流する数少ない場所となっており、音響パルスが交尾の妨げになる可能性もあると研究は指摘する。石油・ガス探査が行われる領域は深部におよぶようになっているが、それがクジラの食性や回遊性に与える影響についてはほとんど明らかになっていない。
同誌に発表された4月に実施された実験によると、超音波探査機によって繰り返し発せられる非常に大きな音波により、バンドウイルカの聴力が一時的に失われることが確認されている。
体長33メートル、体重180トンにもなるシロナガスクジラは、1966年に捕獲禁止措置がとられるまで乱獲により絶滅寸前に追いやられ、2002年のカナダの研究によると、現在の生息数は5000~1万2000頭と推計されている。(c)AFP