【9月21日 AFP】コートジボワールで2006年8月、欧州から運ばれた有害廃棄物が原因とみられる呼吸困難や吐き気などの症状を住民多数が訴えた事件をめぐり、オランダの石油販売会社トラフィギュラ(Trafigura)は19日夜、症状を訴えた住民3万1000人に対し計3000万ポンド(約45億円)を支払うことで住民側と合意した。同社広報が20日、発表した。一方、和解条件では、廃棄物の投棄と死者や流産が出たことなどとの関連性はないとしている。

 トラフギュラによると、和解金は住民1人あたり75万CFAフラン(約15万5000円)ずつ支払われる見込みだ。住民側は当初、計1億8000万ポンド(約268億円)の和解金を要求していた。

 06年8月、トラフィギュラがチャーターしたパナマ船籍の船が、苛性ソーダや石油残さ油などの有毒廃棄物をアビジャン(Abidjan)市内各所へ不法投棄。コートジボワール政府は、この廃棄物が原因で17人が死亡、10万人以上が治療を受けたとしている。また国連(UN)は前週、15人び死と数人の入院について、有毒物質が関係していたことを示す「強い」証拠を発見したと発表した。

 一方のトラフギュラは、一貫して廃棄物と健康被害との関係を否定している。

 和解に際して発表された住民側と同社の共同声明は、独立専門家20人以上による調査で、廃棄された化学物質と住民の死亡や出生異常、失明、深刻な慢性疾患などとの関連性は特定できなかったと指摘。住民側の代理人も、廃棄物が引き起こした可能性があるのは最悪でも短期的かつ低レベルの症状だけだと認めた。(c)AFP

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