【6月27日 AFP】米下院は26日、「キャップ・アンド・トレード」制度を導入する「米クリーンエネルギー安全保障法案(American Clean Energy and Security Act)」を小差で可決した。

 長時間の白熱した議論の末、賛成219票、反対212票の小差で可決。法案支持者らは同法案によって雇用が創出され、気候変動問題における米国の不安定な立場を改善できると主張していた。

 温暖化対策についての論戦は上院に場所を移すことになるが、キャップ・アンド・トレードへの反対を公言する上院議員も多いことから、年内の法案成立は不透明との観測もある。

 数か月にわたる議論を経てまとめられた1200ページにわたる同法案は、温室効果ガス排出量を2005年比で2020年までに17%、2050年までに83%削減し、環境関連の雇用を創出し、米経済の輸入石油への依存を減らすことを目指している。

「キャップ・アンド・トレード」制度は温室効果ガスの総排出量を定めて排出枠を配分し、その売買を認める制度。

 2020年までに電力会社に15%の電力を太陽光、風力、地熱、バイオマスなど再生可能なエネルギーから調達すること義務づけているほか、年5%の省エネルギーを求めている。

 バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、法案採択により米経済が衰退し、温室効果ガスの主要排出国である中国やインドなどの新興国に仕事を明け渡すことになるとの懸念も暗に認めつつ、新興国と協力していく方針を示した。

 米環境保護局(US Environmental Protection AgencyEPA)は今週、この法案が成立すれば1世帯当たり年間80-111ドル(約7600-1万600円)の負担増になるとの試算を発表した。一方、議会予算局(Congressional Budget Office)の試算では175ドル(約1万6700円)の増加となっている。(c)AFP