【6月16日 AFP】インドネシア・スマトラ(Sumatra)島で死がいが発見された雄のスマトラゾウについて、世界自然保護基金(World Wide Fund for NatureWWF)は15日、象牙の密輸業者に毒入りパイナップルを仕掛けられて殺された可能性があると発表した。スマトラゾウは、絶滅が危惧(きぐ)されている動物の1つ。

 このゾウは、同島リアウ(Riau)州のパルププランテーションで12日、死んでいるのが見つかったが、死体からは象牙が抜かれていた。胃の中からはパイナップルの繊維が見つかっており、このパイナップルに毒が含まれていた可能性があるという。

 WWFによると、同州ではこのほかにも、過去2か月間に6頭の死がいが見つかっており、うち2頭からは象牙が抜かれていた。いずれも象牙密輸業者の仕業と考えられている。象牙は一本物ならば1キロあたり2500万-3000万ルピア(約24万-29万円)、カットされた物は1キロあたり500万ルピア(約5万円)程度で取り引きされているという。

 近年、スマトラ島では、密林の不法伐採により住む場を追われた野生動物と人間との衝突事件が増加している。

 インドネシアに生息するスマトラゾウは約2400-2800頭とみられ、このうち200-250頭がリアウ州に生息しているとされる。(c)AFP