【5月26日 AFP】チリ北部のアンデス(Andes)山脈の標高5000メートル地点で、大規模な金鉱開発プロジェクトが始動した。同地で約5000人もの雇用を生み出すとされているが、開発が古代の氷河のそばで行われることから、環境保護団体からの強い反発を招いている。

 チリとアルゼンチンの国境にまたがる世界最大級の金鉱山の開発を目指しているカナダの金鉱大手バリック・ゴールド(Barrick Gold)はこのほど、パスクア・ラマ(Pascua Lama)鉱山の開発に着手した。開発費用は30億ドル(約2800億円)。金の生産は2013年に開始され、鉱山の寿命は25年程度だという。

 だが、同社が15年前に計画書の中で提案した「トロ1(Toro 1)、トロ2(Toro 2)、エスペランザ(Esperanza)の各氷河の移動」については行われないという。

 チリのアナ・リア・ウリアルテ(Ana Lya Uriarte)国家環境委員長は「氷河に被害がでることは容認できない。プロジェクトは、それぞれどちらも等しく重要な一連の条件と要望の下で承認された」と説明し、このプロジェクトが微妙な問題であるとの認識を示している。

 だが、環境保護団体は、このプロジェクトがチリ・アルゼンチン両国にとっては貴重な財源となることから、氷河がどこまで保護されるかはわからないと警戒している。(c)AFP/Paulina Abramovich