地球温暖化でNYウォール街も水没か、米東部の海面上昇を警告
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【3月16日 AFP】大西洋の海流が弱まっている影響で、米国北東部の沿岸では世界平均の2倍速く海面上昇が進み、ニューヨーク(New York)などの大都市が大型の暴風雨や高潮の被害を受けやすくなるという論文が15日、英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」(電子版)に発表された。
海抜1メートルほどの米国の金融の中心、ウォール街(Wall Street)は今世紀中に、頻繁に水没するようになるおそれがあるという。
世界の海面の高さは地域ごとに最大24センチの差がある。その原因の1つは熱塩循環と呼ばれる地球規模の強力な海流によるものだ。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)」は2007年、地球温暖化で海水が膨張する影響で、2100年までに地球全体の平均海面が18-59センチ上昇すると報告している。
今回発表された論文で、フロリダ州立大学(Florida State University)のジャンジュン・イン(Jianjun Yin)氏ら3人の研究者は、グリーンランド(Greenland)や南極西部の氷床融解の影響も考慮し、2100年までに海面は少なくとも1メートル上昇すると予測した。
イン氏らは海面上昇が各地域、特に米国北東部沿岸に与える影響を明らかにするため、3つの温室化ガス増加シナリオのもとで最新技術を用いた約10種の気候変動モデルを分析した。その結果、全てのシナリオで北大西洋の海面の高さがメキシコ湾流(Gulf Stream)や北大西洋海流(North Atlantic Current)が弱まる影響を受けることがわかった。
米北東部沿岸では海流が弱まることと海水の膨張の影響で、海面が36-51センチ上昇するとの結果が出たという。イン氏はAFPの電話インタビューで、「北東部沿岸での海面上昇は急速に進む」と危機感を示し、これに氷床の融解の影響も合わせれば海面は一層高くなると警告した。
海面が急速に上昇すればニューヨーク、ワシントンD.C.(Washington D.C.)、ボストン(Boston)、ボルチモア(Baltimore)など米東部主要都市で、ハリケーンや高潮などの被害を受ける危険性が高まる恐れがある。
マサチューセッツ(Massachusetts)州ケンブリッジ(Cambridge)を拠点とする米科学者団体「憂慮する科学者連盟(Union of Concerned Scientists、UCS)」は2008年、海面上昇により、これまで100年に1回程度の頻度で発生していた大型暴風雨が、2100年までには10年に1度の頻度で起きるおそれがあるという研究を発表した。ウォール街があるマンハッタン先端部の広い地域では、1年間に洪水が発生する確率が10%程度になるとしている。(c)AFP/Marlowe Hood
海抜1メートルほどの米国の金融の中心、ウォール街(Wall Street)は今世紀中に、頻繁に水没するようになるおそれがあるという。
世界の海面の高さは地域ごとに最大24センチの差がある。その原因の1つは熱塩循環と呼ばれる地球規模の強力な海流によるものだ。
国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change、IPCC)」は2007年、地球温暖化で海水が膨張する影響で、2100年までに地球全体の平均海面が18-59センチ上昇すると報告している。
今回発表された論文で、フロリダ州立大学(Florida State University)のジャンジュン・イン(Jianjun Yin)氏ら3人の研究者は、グリーンランド(Greenland)や南極西部の氷床融解の影響も考慮し、2100年までに海面は少なくとも1メートル上昇すると予測した。
イン氏らは海面上昇が各地域、特に米国北東部沿岸に与える影響を明らかにするため、3つの温室化ガス増加シナリオのもとで最新技術を用いた約10種の気候変動モデルを分析した。その結果、全てのシナリオで北大西洋の海面の高さがメキシコ湾流(Gulf Stream)や北大西洋海流(North Atlantic Current)が弱まる影響を受けることがわかった。
米北東部沿岸では海流が弱まることと海水の膨張の影響で、海面が36-51センチ上昇するとの結果が出たという。イン氏はAFPの電話インタビューで、「北東部沿岸での海面上昇は急速に進む」と危機感を示し、これに氷床の融解の影響も合わせれば海面は一層高くなると警告した。
海面が急速に上昇すればニューヨーク、ワシントンD.C.(Washington D.C.)、ボストン(Boston)、ボルチモア(Baltimore)など米東部主要都市で、ハリケーンや高潮などの被害を受ける危険性が高まる恐れがある。
マサチューセッツ(Massachusetts)州ケンブリッジ(Cambridge)を拠点とする米科学者団体「憂慮する科学者連盟(Union of Concerned Scientists、UCS)」は2008年、海面上昇により、これまで100年に1回程度の頻度で発生していた大型暴風雨が、2100年までには10年に1度の頻度で起きるおそれがあるという研究を発表した。ウォール街があるマンハッタン先端部の広い地域では、1年間に洪水が発生する確率が10%程度になるとしている。(c)AFP/Marlowe Hood