【2月28日 AFP】米俳優や仏物理学者、ニジェールの遊牧民族トゥアレグ人、米国の先住民、オーストラリアのアボリジニの代表者を含むグループは27日、ウラン採掘の危険性について米議員に厳しい警告を発した。

 フランスの民間放射線研究機関「CRIIRADCommission de Recherche et d'Information Indépendantes sur la Radioactivité)」のブルーノ・シャレロン(Bruno Chareyron)氏はAFPに、「ウラン採掘は環境を非常に汚染する。放射能破棄物の封じ込めに関する疑問についても、科学的な答えは今のところ存在しない」と語った。

■ニジェールでは抗争も

 フランス原子力大手アレバ(Areva)が40年以上にわたりウラン採掘しているニジェールについて、遊牧民トゥアレグ人で米国在住7年のSidi-Amar Taouaさんは、「ウラン採掘によってどこも大きな影響を受けている。自分たちの土地を守ろうとして武器を取ったトゥアレグ人と、アレバに加担するニジェール政府の間では、抗争も起きている」と語った。

■標的となる米先住民の土地

 米国南西部の先住民が住む土地には1300か所以上のウラン鉱山がある。大半はすでに閉鎖されているが、採掘によって飲料水の汚染や、がんや腎臓病などあらゆる病気が引き起こされていると、先住民の環境保護活動家マニー・ピノ(Manny Pino)氏は訴えた。

 米国でのウラン採掘は、1940-80年代に長い興隆期を迎えたが、90年代に入りウラン価格が急落するとほとんど休止状態となった。2005年にウラン価格が再上昇を始めると、自治権を持つ先住民ナバホは居留地でのウラン採掘および処理を禁じる法律を成立させた。

 映画『W.』でジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)元米大統領を演じた米俳優ジェームズ・クロムウェル(James Cromwell)さんによると、07年にウラン価格が1ポンド当たり140ドル近くに上昇すると、ウラン埋蔵量の豊富なナバホの地に、採掘会社が「ハゲタカ」のように殺到した。ウランが豊富な土地の70%は、低所得の先住民地域にある。

 08年に原油と天然ガスの価格が高騰すると、原子力は米国のエネルギー自給を確実にするための代替エネルギーとしての地位を獲得した。

 グループは前日26日には、米ワシントンD.C.(Washington, DC)の全米記者クラブ(National Press Club)で記者会見を開き、ウラン採掘や原子力エネルギーの危険性を訴えた。(c)AFP