【2月26日 AFP】世界気象機関(World Meteorological OrganisationWMO)は25日、北極と南極の氷床が予想を上回るペースと規模で縮小しており、海面水位が上昇するとともに気候変動に拍車をかけているとの調査報告書を発表した。

 報告書は、WMOと国際科学会議(International Council for Science)が2007年から2年間にわたるプロジェクトとして実施した「国際極年(International Polar Year)」に伴い、北極や南極周辺に関する調査結果を予備的にまとめたもの。

 それによると、南極地方の海水温は世界平均を上回るペースで上昇し、その結果氷床が縮小している。グリーンランドの氷床の融解も加速しており、北極の氷床も縮小しつつある。これら氷床の溶解がもたらす海面水位の上昇と海水温の変化は、世界規模での気候パターンの変動をもたらしており、沿岸部で大型ハリケーンが発生する頻度が高くなる可能性があるという。

 調査では、世界の気候に深刻な影響をもたらしうる海洋循環の変動を示すデータも示されている。

 さらに、永久凍土層にはこれまで考えられていた以上の二酸化炭素が蓄積されていることが明らかになっており、永久凍土層が溶け出した場合に大量の温室効果ガスが大気中に放出されることも懸念されている。

 極地域は、世界の海洋や大気に多大な影響をもたらすことから、環境の変化や地球温暖化に関する最も敏感なバロメーターとみなされてきた。極地域を対象とするこうした調査は1950年代以来、約半世紀ぶり。

 調査が開始された2007年当時、グリーンランドと南極地方の氷床には、ごく小規模な溶解の兆候は表れていたが、おおかた安定していると見られていた。(c)AFP/Peter Capella