【2月15日 AFP】地球温暖化は従来予測をはるかに超えるペースで進んでいるという発表が14日、米イリノイ(Illinois)州シカゴ(Chicago)で開かれた米国科学振興協会(American Association for the Advancement of ScienceAAAS)のシンポジウムで行われた。

 国連の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」が、地球温暖化が進めば海面の上昇、砂漠の拡大、激しい嵐の発生、動植物の30%の種が絶滅するという衝撃的な報告をまとめたのはわずか1年ほど前だが、最近の研究によれば今後100年間に温暖化がもたらす影響はさらに深刻になる可能性があるという。

 最新のデータによれば、1990年代に1年に平均0.9%増加していた温暖化ガス排出量は、2000年から2007年にかけては90年代の3倍以上にあたる年平均3.5%のペースで増加した。発表したスタンフォード大学(Stanford University)のクリストファー・フィールド(Christopher Field)氏は、経済活動が増えたことに加え、「主に石炭火力発電に依存する中国やインドなどの発展途上国の発電量増加」が大きな原因だとしている。

 産業革命が始まってから現在までに化石燃料の燃焼によって排出されたCO2は3500億トン、最近の研究では北極圏の永久凍土に眠る炭素の量は1兆トンとそれぞれ推定されている。北極圏は地球上で最も急速に温暖化が進んでいるため、今後永久凍土から大気への温暖化ガスの放出が加速する恐れがある。

 最近のいくつかの気象モデルでは、山火事や森林伐採などで熱帯雨林が減ると、現在約380ppmの大気中のCO2濃度が今世紀末には10-100ppm増える可能性が指摘されている。大気がわずかでも乾燥すると、熱帯雨林で大規模な火事がおきやすくなるという。

 フィールド氏は、早急に対策をとらなければ、気温上昇によって今世紀末にかけて人類の手に負えない悪循環が起きる恐れがあると警告している。

■加速する海面上昇、バイオ燃料にもリスク

 また、フランスの国立宇宙研究センター(CNES)のアニー・カゼナヴ(Anny Cazenave)氏は、海水温上昇と山岳部と極地方の氷河の溶解による海面上昇も従来の予測を超えるペースで進んでいると警告した。衛星写真を使った研究によれば、過去16年間の海水面の上昇は前世紀の平均の2倍を超える勢いで進んでいるという。なかには、1年に1センチ上昇した場所もある。

 スタンフォード大のホリー・ギブズ(Holly Gibbs)氏は、バイオ燃料の利用が増えると燃料用作物を栽培するために森林が伐採され、温暖化が加速する恐れもあると述べた。「自動車に熱帯で生産されたバイオ燃料を使う場合、実質的には熱帯雨林を燃やして走っているのと同じというケースも多いはずです」(c)AFPGERMANY OUT