【1月22日 AFP】米ワシントン大学(University of Washington)などの研究チームは21日、地球温暖化が南極大陸全体に影響を及ぼしているとの研究論文を英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表する。

 これまで一般的には、南極の温暖化は主に南極半島(Antarctic Peninsula)で起きており、南極点上空のオゾンホールによる季節的な冷却作用により全体的な氷床の温度はわずかながら低下し、厚さも増えている可能性があると考えられてきた。しかし今回の研究はこの見方を否定するものだ。

 研究によると、過去50年間の南極大陸全体の平均気温は温室効果によって上昇しており、西南極では過去50年間で10年ごとに気温が0.17度ずつ上昇しているという。10年ごとの平均気温の上昇が0.11度の南極半島を上回る温暖化のペースだ。

 一方、東南極では、1970年から2000年の間に大きく気温が下がった時期があったが、これはオゾンホールによるもので、過去50年にさかのぼると、全体として東南極も10年ごとに平均0.1度ずつ気温が上昇している。研究者らは「注目すべき気温上昇だ」と指摘している。

 南極大陸で大規模な氷床の融解が起きれば、沿岸部の都市やデルタ地帯は水没する可能性がある。南極大陸はオーストラリアよりも大きく、すべての氷が溶ければ世界の海水位が57メートル上昇するという。(c)AFP/Richard Ingham