【1月14日 AFP】オーストラリア北部の養魚場で、頭が2つあるバスの稚魚が大量に生まれ、専門家は有毒化学物質による汚染が原因である可能性を指摘している。

 オーストラリア獣医科大学(Australian College of Veterinarian Scientists)のマット・ランドス(Matt Landos)氏によると、ヌーサ川(Noosa River)の養殖場で生まれた突然変異の稚魚はわずか48時間ほどしか生きられずに大量に死んでいるという。

 ランドス氏はAFPに対し、「養魚場の水でふ化させたり、ヌーサ川で捕まえたバスの卵からふ化させたりすると、魚が汚染されているのか、奇形があったり激しく動いたりする稚魚が生まれる。水産養殖に10年携わってきたが、このようなことは初めてだ」と語った。

 検査の結果、ウイルスや細菌類の存在は確認されず、ランドス氏は近隣のマカダミアナッツ農場からの農薬が原因ではないかと疑っている。近隣のマカダミアナッツ農園は過去2年間でふ化場の3辺と接するほどにまで急拡大したが、それとともに魚の奇形が増えているとランドス氏は指摘する。

 養殖場で飼われているニワトリ、ウシ、ヒツジにも、異常に高い確率で出生異常や死産が起きているという。急速に進歩する技術によって農薬の粒子がより小さくなったことで、遠くにまで農薬が飛散している可能性もある。

 問題となっているの有機リン系農薬のカルベンダジムやエンドスルファンは、潜在的な危険性が認識されており、使用が禁止されている国もある。しかしオーストラリアでは未だに使用が推奨されている。

 クイーンズランド(Queensland)州政府が行った検査では、マカダミアナッツ農場でこれらの農薬が農薬メーカーの指示に反する方法で使われたことを示す証拠はなかったという。地元の漁業当局は現在調査を進めており、死んだ魚の検査結果は来月にも報告される見通しだという。(c)AFP