【1月13日 AFP】海面の劇的な上昇につながる恐れもあると指摘されている、デンマーク領グリーンランド(Greenland)の氷河の急激な縮小について、英ダラム大学(Durham University)を中心とした研究チームが11日、これは一時的な現象である可能性があるとする研究報告を発表した。

 研究チームはコンピューター・モデルを使い、グリーンランドで最大の氷河の1つ、ヘルヘイム氷河(Helheim Glacier)の急激な縮小について、3つのシナリオを検証した。

 3つのシナリオのうち、2つは地球温暖化によって直接引き起こされる変化を基にしたものだという。具体的には、氷床下の水分の増加によって氷河の下部が解け滑らかになることで海に流出する場合、もう1つは、融解によって全体的に縮小する場合だという。

 もしこの2つのうちのどちらかが立証されれば、今後数十年にわたって氷河の縮小は続いていくことになり、これまでの予測以上に、海面上昇の速度は速まるとともに、その規模も大きくなる可能性が高まるということになる。だが、研究チームによると、この2つのシナリオは観測データに適合しなかったという。

 これに対し、縮小は氷河が海に接する境界域の状態の変化によるものだと仮定する3つ目のシナリオは、観測データにぴったりと適合したという。研究チームによると、こうした境界域での変化は地球温暖化の影響ももちろん受けているが、今後も継続していく可能性は低いとしている。(c)AFP/Marlowe Hood