【12月1日 AFP】反政府勢力の支配下にある、コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部のヴィルンガ国立公園(Virunga National Park)。マウンテンゴリラの有数の生息地である公園に久しぶりに帰還したレンジャーたちは、小さな奇跡を目の当たりにした。茎をかじっている巨大な雄ゴリラのそばで、5頭の雌が赤ちゃんに乳を飲ませていたのだ。

 世界遺産にも登録されている同公園へのレンジャーの帰還は、公園のエマニュエル・ドゥ・メロード(Emmanuel De Merode)所長と、反政府勢力「人民防衛国民会議(National Congress for the Defence of the PeopleCNDP)」のローラン・ヌクンダ(Laurent Nkunda)司令官との話し合いで実現した。CNDPは2007年9月、同公園東部のゴリラの生息域を掌握し、レンジャーたちは避難を余儀なくされため、ゴリラたちが顧みられない状況が15か月間も続いていた。

 前月28日、レンジャーたちは、行く手をさえぎる蔓(つる)をなたで切り開きながらジャングルを分け入り、2時間ほどでミケノ火山(Mount Mikeno)の中腹の開けた場所に到達。彼らが目にしたものは、兄弟の身体から虫を一匹ずつ取り除くゴリラの子どもや、母親の背中にしがみついたままこちらを見つめる赤ちゃんゴリラの姿だった。大人のゴリラたちは超然としているのに対し、子どもたちは訪問者たちに興味津々で、同行した記者の足を2回叩くという「おふざけ」をやってから茂みに隠れる子もいた。

 ドゥ・メロード所長によると、調査隊はこの日、30頭の群れに遭遇し、5頭の赤ちゃんを確認した。これは、ゴリラの生息数が15%増加したことを示している。5頭はCNDPが公園を掌握してから生まれたものだが、過去10年間の1年当たりのゴリラの増加率が2%未満であること、公園が戦闘の最前線にある状況をかんがみると、「脅威的な増加で、ほとんどあり得ない」ことだという。

 だが所長は、これまでの調査で7つの群れのうち2つの群れしか確認できておらず、全体の頭数は依然として不明だとの慎重姿勢を崩していない。調査は1か月間続けられる予定だ。(c)AFP/Denis Barnett