ゴリラへの愛が戦闘を乗り越え、反政府勢力の協力でレンジャー帰還へ コンゴ
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【11月25日 AFP】紛争が絶えないコンゴ民主共和国(旧ザイール)でも、小さな愛がすべての戦いを乗り越えることを示す印象的な例がある。
同国東部・北キブ(Nord-Kivu)州で長期にわたり戦闘を続け、緑豊かな土地を荒廃させてきた政府軍と反政府勢力が、世界自然遺産にも指定されているヴィルンガ国立公園(Virunga National Park)へのレンジャー数百人の帰還を認めるという異例の合意に達した。長らく放置されてきたゴリラたちの世話や調査のためで、レンジャーらは来週にも、カラシニコフ銃を携え、反政府軍の護衛付きで帰還する予定だ。
レンジャーの1人、イノセントさんは帰還を楽しみにしている。イノセントさんは15か月間、お気に入りのゴリラ「カドゴ」と会っていない。「カドゴは僕のお気に入り。カドゴは生まれた時からはげ頭だったんですよ。そんなゴリラはほかにはいません。彼に早く会いたい」と、イノセントさんは目を細める。
反政府勢力「人民防衛国民会議(National Congress for the Defence of the People、CNDP)」は2007年9月、同公園東部のゴリラの生息域を掌握し、レンジャーたちは避難を余儀なくされた。CNDPは、前月にはルマンガボ(Rumangabo)を支配下に置き、同公園の南部で活動していたレンジャーたちも避難せざるをえなくなっていた。
■反政府勢力とやむなく「取引」
レンジャーの帰還は、前週、政府側代表として参加したエマニュエル・ドゥ・メロード(Emmanuel De Merode)同公園所長とCNDPのローラン・ヌクンダ(Laurent Nkunda)司令官との話し合いで合意された。同国では、CNDP、民兵組織マイマイ(Mai-Mai)、ルワンダ解放民主軍(Democratic Liberation Forces of Rwanda、FDLR)、そして政府軍が入り乱れて天然資源の争奪戦を繰り広げているが、同公園はCNDRが単独で掌握したこともあり、レンジャーの帰還については比較的容易に話し合いが進められたという。
北キブ州のような戦闘地で、反政府軍が(レンジャーの護衛のために)前線を自由に行き来することが許されるのは、異例のことだ。
ドゥ・メロード所長は「(反政府軍と取引したことは)物議を呼ぶだろうが、われわれのメッセージは極めて明確だ。世界遺産でもある公園を管理し、この国の今後の経済にとって極めて重要な自然遺産を守らなければならない」と語った。
■公園にとどまったレンジャーたち
反政府勢力が公園を掌握したあとも、公園にとどまったレンジャーはたくさんいる。その中の1人、都会的な服装をして威厳を漂わせるピエールさん(52)は、「政府は『レンジャーたちは全員追い出された』と言っているが、それは違う。正しくは、政府がレンジャーたちに出て行くよう命じたんだ。プロパガンダとして利用されたわけさ」と説明した。
「ゴリラの世話をするためにここに残ったわけだが、反政府勢力のメンバーだと疑われたこともある。でも、公園管理局はわたしが保護活動をしていることを理解しているし、英雄だと思われている」。ピエールさんは「英雄」の語を強調しながら語った。
同公園には、世界に生き残っているマウンテンゴリラ700頭のうち200頭が生息する。15か月間も顧みられなかったゴリラたちが無傷で生存しているかは、明らかではない。
ピエールさんは、ゴリラたちは無事で、健康状態も良いと主張する。だがドゥ・メロード所長は、ゴリラの専門家による詳細な調査を実施する必要があるとしている。(c)AFP/Denis Barnett
同国東部・北キブ(Nord-Kivu)州で長期にわたり戦闘を続け、緑豊かな土地を荒廃させてきた政府軍と反政府勢力が、世界自然遺産にも指定されているヴィルンガ国立公園(Virunga National Park)へのレンジャー数百人の帰還を認めるという異例の合意に達した。長らく放置されてきたゴリラたちの世話や調査のためで、レンジャーらは来週にも、カラシニコフ銃を携え、反政府軍の護衛付きで帰還する予定だ。
レンジャーの1人、イノセントさんは帰還を楽しみにしている。イノセントさんは15か月間、お気に入りのゴリラ「カドゴ」と会っていない。「カドゴは僕のお気に入り。カドゴは生まれた時からはげ頭だったんですよ。そんなゴリラはほかにはいません。彼に早く会いたい」と、イノセントさんは目を細める。
反政府勢力「人民防衛国民会議(National Congress for the Defence of the People、CNDP)」は2007年9月、同公園東部のゴリラの生息域を掌握し、レンジャーたちは避難を余儀なくされた。CNDPは、前月にはルマンガボ(Rumangabo)を支配下に置き、同公園の南部で活動していたレンジャーたちも避難せざるをえなくなっていた。
■反政府勢力とやむなく「取引」
レンジャーの帰還は、前週、政府側代表として参加したエマニュエル・ドゥ・メロード(Emmanuel De Merode)同公園所長とCNDPのローラン・ヌクンダ(Laurent Nkunda)司令官との話し合いで合意された。同国では、CNDP、民兵組織マイマイ(Mai-Mai)、ルワンダ解放民主軍(Democratic Liberation Forces of Rwanda、FDLR)、そして政府軍が入り乱れて天然資源の争奪戦を繰り広げているが、同公園はCNDRが単独で掌握したこともあり、レンジャーの帰還については比較的容易に話し合いが進められたという。
北キブ州のような戦闘地で、反政府軍が(レンジャーの護衛のために)前線を自由に行き来することが許されるのは、異例のことだ。
ドゥ・メロード所長は「(反政府軍と取引したことは)物議を呼ぶだろうが、われわれのメッセージは極めて明確だ。世界遺産でもある公園を管理し、この国の今後の経済にとって極めて重要な自然遺産を守らなければならない」と語った。
■公園にとどまったレンジャーたち
反政府勢力が公園を掌握したあとも、公園にとどまったレンジャーはたくさんいる。その中の1人、都会的な服装をして威厳を漂わせるピエールさん(52)は、「政府は『レンジャーたちは全員追い出された』と言っているが、それは違う。正しくは、政府がレンジャーたちに出て行くよう命じたんだ。プロパガンダとして利用されたわけさ」と説明した。
「ゴリラの世話をするためにここに残ったわけだが、反政府勢力のメンバーだと疑われたこともある。でも、公園管理局はわたしが保護活動をしていることを理解しているし、英雄だと思われている」。ピエールさんは「英雄」の語を強調しながら語った。
同公園には、世界に生き残っているマウンテンゴリラ700頭のうち200頭が生息する。15か月間も顧みられなかったゴリラたちが無傷で生存しているかは、明らかではない。
ピエールさんは、ゴリラたちは無事で、健康状態も良いと主張する。だがドゥ・メロード所長は、ゴリラの専門家による詳細な調査を実施する必要があるとしている。(c)AFP/Denis Barnett