【11月17日 AFP】コンゴ民主共和国(旧ザイール)で新たな紛争が勃発したことで、ヴィルンガ国立公園(Virunga National Park)のレンジャーたちが大量に避難し、絶滅危惧(きぐ)種のマウンテンゴリラが反乱軍兵士や密猟者に襲われる懸念が強まっている。

 ローラン・ヌクンダ(Laurent Nkunda)将軍率いる反政府軍は前月26日、同国東部・北キブ(Nord-Kivu)州にある政府軍の戦略的基地を占拠し、州都ゴマ(Goma)にせまった。このとき同公園の一部も支配下に置いたことから、公園の管理者やレンジャーたちは森に避難した。 

 同公園のレンジャー680人のうち約180人は、現在、コンゴ国立公園局がゴマ郊外に設置した小規模な避難民キャンプに暮らしているという。

■政府も密猟の増加を懸念

 1925年に設立されたヴィルンガ国立公園はアフリカで最も古い歴史を持つ。面積は7800平方キロで、2つの活火山や湿地、雪を頂いた山脈など、景観はバラエティに富んでいる。世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)によれば、世界で確認されている700頭のマウンテンゴリラのうち半数以上と、約2万頭のカバがここに生息している。

 国連教育科学文化機関(ユネスコ、UNESCO)は1979年、同公園を世界遺産(World Heritage Site)に登録。1994年には、同国で内戦が勃発したことから危機遺産に指定した。

 ホセ・エンドゥンドゥ(Jose Endundo)環境・観光相は14日の記者会見で、国軍と反政府軍の戦闘は公園に大きな脅威を与え、観光収入にも打撃を与えると指摘するとともに、密猟の増加に懸念を示した。2007年だけで、マウンテンゴリラ15頭、アンテロープ2万頭以上が捕獲されたという。(c)AFP