温室効果ガスが次の氷河期を食い止める可能性も、英研究結果
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【11月14日 AFP】人間が作り出した温室効果ガスが、数万年後に突入すると予測されている氷河期の到来を阻止する可能性もあるとという研究結果が12日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」で発表された。
研究を行ったのはスコットランド・エディンバラ学(University of Edinburgh)の地球科学者、トマス・クローリー(Thomas Crowley)氏と、カナダ・トロント大学(Toronto University)の物理学者、ウィリアム・ハイド(William Hyde)氏。
地球では過去数十億年間に、長期にわたる極寒の「氷期」と、その合間の「間氷期」と呼ばれる比較的温暖な時期が繰り返されてきた。約1万1000年前に前回の氷河期が終わり、それ以降は間氷期の温暖な気候が続いている。このような気候変化は、主に地球の公転軌道と地軸の変化が影響していると考えられている。軌道や地軸は1分変わるだけでも、地球上の日照時間に大きな影響を与える。
クローリー氏とハイド氏は精密なコンピューターモデルを作り、寒冷期と温暖期について詳しく調べた。地球の軌道や地軸の変化に加え、大気中の二酸化炭素(CO2)量も計算に組み込んだ。CO2は氷コアに含まれる極小の泡から検出し、そこから数十万年間の気温も割り出した。
その結果、気候が激しく変化していたことが確認され、中には比較的短期間で相次いで地球の気候が変化した時期があったことも分かったという。このような変化は、地球は徐々に寒くなったり温かくなったりするはずだという考え方とは相反している。
「約100万年前に大きな変化があった。その後、65万年前に2回目の変化があって、より大規模な氷河期が訪れ、45億年前からはそれまでよりも氷河期が多くなった」とトマス氏は説明する。間氷期がより温暖になってきたことも興味深いと言う。
コンピューターモデルによると、通常なら、今後1-10万年間のうちに次に大きな気候の変化が起きる予測だ。この時期、中緯度では長期間の氷河期となり、欧州、アジア、北アフリカの緯度が約45-50度の地域は厚い氷の層に覆われることになる。
ところが、化石燃料の燃焼や森林破壊により、大気中に存在するCO2などの温室効果ガスの量が増加し、現在は温暖化現象が加速している。その結果、地球の軌道変化による冷却現象を相殺しているのだと、クローリー氏は指摘する。「コンピューターモデルで割り出された臨界状態に到達するのに十分な量のCO2が、現在すでに存在している。CO2をある程度削減したとしても、温暖化を促進するのに十分な量だ」
一方で両氏は、「この研究結果は地球温暖化を支持するものではない」と注意を促している。(c)AFP