【11月3日 AFP】アフリカの砂漠化を食い止めるべく、西はセネガルから東はジブチまで、7000キロに渡って樹を植えようという「緑の壁」プロジェクト。砂漠化で脅かされる数千万人の命を救おうというこの壮大にして単純、かつ野心的なプロジェクトが、セネガルでも2005年から始動している。

 セネガルは、長さにして543キロ、面積にして76万ヘクタールを担当するが、目標にはほど遠いのが現状だ。雨期の終わりを迎え、薄緑色の茂みで覆われた北部のサヘル地域。AFP記者を案内したダカール(Dakar)出身のドライバーは、「これが、アブドゥラエ・ワッド(Abdoulaye Wade)大統領が世界中に宣伝していた、あの緑の壁なんですか?」と失望を隠さない。

 実際、この国における「緑の壁」は、緑色の茂みがところどころに生えているといった程度に過ぎない。ここWidoy Thiengolyに2005年に植えられたゴムの木とナツメヤシは、まだ膝の高さにもならない。

■まだまだ小さな緑の壁

 プロジェクトに携わるアルマミー・ディアラ(Almamy Diarra)さんは、「年に3か月程度しか雨が降らない地域では、打てば響くといった結果は望めない。ゴムの木は最初に根をしっかり張ってから、丈を非常にゆっくりと伸ばし始めるという性質がある」と説明する。

 ゴムの木には、水をほとんど必要とせず、干ばつに強いという利点がある。なかでも、しっかりと張った根が土層を固定して水分を浸透しやすくし、ほかの植物との共生を可能にする「微気候」を生み出すという点が、砂漠化の抑制に最適だという。また、こうした植林プロジェクトは村の若者の雇用を創出している。

 関係当局によると、2005年には300ヘクタール、06年には400ヘクタール、07年には675ヘクタールが植林された。今年の目標は5000ヘクタールだったが、既に5230ヘクタールを植林した。

 当面は資金面での課題が残るが、今後少なくとも25年間、毎年2万5000ヘクタールを植林していく必要があるという。

 ゴムの木が成長すると、新たな収入源が生まれるとの期待もあるが、関係当局者は「辛抱が肝心だ」と言う。「543キロにもおよぶ植林は、数世代後にようやく完了するという息の長い仕事なのです」(c)AFP