【10月26日 AFP】地球温暖化に影響を及ぼす影響が二酸化炭素(CO2)より1万7000倍も大きい強力な温室効果ガス「三フッ化窒素」が、これまで考えられていたより3倍以上も多く大気中に蓄積されていたことが23日、明らかになった。

 米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California, San Diego)スクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)の研究チームが、米航空宇宙局(NASA)が資金援した新しい測定システムを使用して調査した結果、2006年の大気中の三フッ化窒素量は、これまで推定されていた1200トンではなく、4200トンだったことが判明した。

 大気中の三フッ化窒素はこれまでの技術では測定できなかったが、チームを率いるレイ・ワイス(Ray Weiss)氏は、2008年の大気中に存在するフッ化窒素の量は5400トンで、毎年11%ずつ増加していることを明らかにした。また、三フッ化窒素はCO2よりも約5倍も長い期間、大気中に滞留するという。

 三フッ化窒素は、薄型テレビ用の液晶パネルやや超小型電子回路などの製造で使用されるガスの1種で、これまでは排出量が少なく地球温暖化に影響はないとみられていたため、温室効果ガス排出量の削減を規定した京都議定書(Kyoto Protocol)でも対象にならなかった。
 
 ただし、現在、三フッ化窒素が温暖化に及ぼしている影響は全体の0.15%ほどしかないという。

 研究結果は、31日付の米地球物理学会誌「Geophysical Research Letters」に発表される。(c)AFP