【9月13日 AFP】地中海で続けられてきたクロマグロの乱獲は「不名誉」なことで、同海域でのクロマグロ漁は即刻中止されるべきだとする有識者による報告書が11日、発表された。

 この報告書は、日本、米国、欧州連合(EU)、北アフリカ諸国、トルコなどが加盟し、大西洋と周辺海域でのクロマグロ、メカジキ、ビンナガなどの漁業について責任を負う「大西洋まぐろ類保存国際委員会(International Commission for the Conservation of Atlantic TunasICCAT)」について評価したもの。委託された早稲田大学(Waseda University)の林司宣(Moritaka Hayashi)教授、オーストラリア漁業管理実行機関(AFMA)のグレン・ハリー(Glenn Hurry)氏、カナダの国際漁業専門家ジャン・ジャック・マグワイア(Jean-Jacques Maguire)氏の3人が発表した。

 報告書では、ICCAT加盟国は合意した規則を順守しておらず、クロマグロ漁を行う国々がICCATやほかの国際漁業法の規則・奨励を完全に順守しない限りクロマグロ漁は全面中止されるべきと提言されている。

 3人の有識者はまた、地中海でのクロマグロの保存管理状態は「国際的不名誉」で、関係各国は「クロマグロの保存を怠ってきた」として非難した。

 大きいものでは重さ900キロにもなるクロマグロは、すしや刺身など日本料理で特に珍重されているが、専門家は世界のレストランに出回っているクロマグロの量は多すぎると指摘している。

 ICCATによると、現在、地中海では毎年5万トン以上のクロマグロが捕獲されているが、生息数を維持するためには短期的に1万5000トンに制限する必要があるという。(c)AFP