【9月4日 AFP】オーストラリアの「大干ばつ」で、主要耕作地帯を流れる水系が危機的状況にあり、この長引く干ばつが終息する見通しは当面ないという。当局が2日、明らかにした。

 オーストラリアの3大河川、マレー(Murray)川、ダーリング(Darling)川およびマランビジー(Murrumbidgee)川は、合流してマレー・ダーリング川流域(Murray Darling Basin)を形成しており、北部クイーンズランド(Queensland)州からニューサウスウェールズ(New South Wales)州を通り、南へ向かってビクトリア(Victoria)州、サウスオーストラリア(South Australia)州へと流れている。

 この流域が位置するオーストラリア東岸地域では、同国の農産物の40%が生産されているが、この地域を監視するマレー・ダーリング川流域委員会(Murray-Darling Basin Commission)によると、マレー川の水量は現在、過去最低レベルだという。

 冬季に流入する水量は117年間の観測史上5番目に少なかった時と同量で、7年に及ぶ雨不足の影響から、今年8月までの2年間のこの水系の水量は過去最低だという。

 同委員会によると改善のめどは立っておらず、干ばつは悪化の一途をたどっている。

 また、同国気象局も、川が健康な状態に戻るためには数か月間の大雨が必要だと指摘しているが、そのような天候は見込めないとしている。

 同委員会は、マレー川水系の見通しは非常に深刻で、次の冬は人々の生活に最低限必要な分はまかなえるものの、かんがい用水はほとんどないという。

 干ばつとかんがいの影響でこの水系は非常に枯渇し、マレー川河口の低地の淡水湖は酸性化している。水路の枯渇で農家は頭を抱え、環境にも深刻な影響を及ぼしている。

 マレー・ダーリング川流域委員会は、冬に雨が降らなかった場合、春が来て気温が上がれば水が蒸発して水量はさらに減少すると懸念し、「この干ばつは気候変動の足跡だ」と述べている。(c)AFP