【9月3日 AFP】カナダ西部ブリティッシュコロンビア(British Columbia)州にいるオオカミは、サケが旬の季節には、シカやほかの野生動物よりもサケを好んで食べることが明らかになった。科学雑誌「BMC Ecology」が2日、発表した。

 研究者らは、同州で4年間にわたってオオカミのふんや体毛などを分析し、オオカミの食事の内容を調査した。その結果、春と夏はシカを主に食べていることがわかった。ところが、産卵のためにサケが海から遡上(そじょう)してくる秋は、シカの生息数は安定しているにもかかわらず、オオカミは「顕著な食餌選択の変化」を示したという。

 こうした食習慣の変化は、安全面で理にかなっているという。研究者らは「シカやエルクを仕留める際、オオカミは一般的に深刻な、時には生命にかかわるけがをすることがある」とした上で、サケを獲ることは危険も少なく、狩猟時間も短時間ですむと指摘している。また、サケの肉の方が、特に脂肪やエネルギーの面で、シカ肉よりも栄養価が高いという。

 ただ、クマも同様にサケを好むので、狩猟場所が重なった場合にオオカミは危険な戦いに臨むこととなる。(c)AFP