【8月7日 AFP】スイスに本部を置く国際自然保護連合(International Union for the Conservation of NatureIUCN)は4日、世界の霊長類の半数近くが絶滅に危機に瀕しているとの報告書を発表した。

 IUCNの「レッドリスト(Red List of Threatened Species)」は、世界の霊長類634種のうち300種程度を絶滅危惧(きぐ)種に指定している。専門家らは、霊長類の個体数減少の主な原因は森林破壊だが、密猟も浮上していると指摘している。

 IUCNの専門家、Russell Mittermeier氏は、「われわれは何年も前から、霊長類の絶滅の危機を訴えてきたが、霊長類を取り巻く状況が想像をはるかに超えて深刻だということがデータで実証された」としている。

 IUCNによると、東南アジアの状況は特にひどいという。ベトナムとカンボジアでは漢方薬の材料としての密猟が横行していることもあり、霊長類の90%が絶滅の危機にある。アジア全体では、絶滅の危機にある霊長類は70%程度にのぼるという。

 アフリカでは、レッドコロブス13種のうち11種が絶滅危惧種に指定されており、残り2種は絶滅してしまった可能性がある。キツネザルやマウンテンゴリラも絶滅が危惧されている。

 IUCNの種保全委員会(IPS)のリチャード・ランガム(Richard Wrangham)委員長は、「アフリカの霊長類の絶滅危惧種としてはゴリラやボノボばかりが注目されるが、レッドコロブスなどの小型霊長類が先に絶滅する可能性がある」との見方を示している。

 現在も未知の種の発見が相次いでいるが、発見される前に絶滅してしまう種もあるのではないかと懸念されている。(c)AFP