【7月18日 AFP】絶滅の恐れがある野生動植物の国際取引に関する「ワシントン条約(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and FloraCITES)」の締約国は15日、ジュネーブ(Geneve)で開催中の常設委員会で、象牙の競売への中国の参加を認めた。野生動物保護団体からは、中国による不法な象牙取引を助長するものだとして抗議の声が上がっている。

 今回の決定により、世界有数の象牙消費国である中国は、日本とともに象牙の競売に参加することになる。競売は3か月以内に行われ、南アフリカから51トン、ボツワナから43トン、ナミビアから9トン、ジンバブエから3トンの合計108トンが競売にかけられる見通し。

 南アフリカに本部を置く野生動物保護団体「Animal Rights Africa」は象牙の競売について、「国際的な象牙密猟組織にゴーサインを出す結果となる。競売のために南アフリカでは、推定7699頭のゾウが命を失った計算になる(1頭あたり象牙1.8本を採取・1本は3.68キロ)。競売による利益はすべて、ゾウの保護のため、ゾウとともに生きる地域社会のために使われるべきだ」との談話を発表している。

■WWFは中国の参加を歓迎

 一部の野生動物保護団体が中国の参加に怒りをあらわにしているのに対し、中国は国内における不法象牙取引の規制に尽力してきたと理解を示す団体もある。

 野生動物の取引監視や啓発活動を行うNGO団体「トラフィック(TRAFFIC)」のトム・ミリケン(Tom Milliken)氏は、「中国は国内の不法象牙取引の撲滅に向け大きな成果を上げた。同国は今後、特に密猟が盛んなアフリカ中部から密猟を一掃するよう、他国に働きかけねばならない」と話す。

 世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)のスーザン・リーバーマン(Susan Lieberman)氏も、「中国はやるべきことをすべてやってきた」と中国の参加を歓迎している。

■日本も参加

 173か国が加盟するCITESは、1989年に象牙の国際取引を原則禁止したが、1997年以降、アフリカ数か国に対し、定期的な象牙の競売実施を認めている。

 第1回の競売は1999年に開催され、この時日本はボツワナ、ナミビア、ジンバブエから50トン、500万ドル(約5億3000万円)相当の象牙を輸入した。2回目となる今回の競売にも、日本の参加は認められている。

 中国の経済活況と国内での堅実な象牙需要により、1キロあたりの価格は750ドル(約8万円)に跳ね上がっている。

 アフリカゾウの個体数はかつて数百万頭を数えたが、現在は40万頭から60万頭と言われる。専門家らは、毎年約2万頭が密猟の被害にあっていると指摘している。(c)AFP