【7月11日 AFP】(写真追加)欧州宇宙機関(European Space AgencyESA)は10日、南極の巨大な棚氷「ウィルキンス棚氷(Wilkins Ice Shelf)」が地球温暖化の影響で南極大陸から分離寸前であることを示す新たな証拠が発見されたことを明らかにした。

 ESAは、地球観測衛星「エンビサット(Envisat)」が撮影した画像によると、ウィルキンス棚氷は南極半島(Antarctic Peninsula)と同棚氷とをつなぐシャルコー島(Charcot Island)から「分離する寸前」だと発表した。

 北アイルランドとほぼ同じ約1万6000平方キロメートルの面積をもつウィルキンス棚氷は、20世紀中はほとんどその面積に変化はなかったが、1990年代から縮小し始めた。

 それ以来、数度にわたって広い範囲で分離をくり返した上、今年に入って2度の大規模な分離が起こったことで、シャルコー島や南極大陸をつなぐ部分はわずか約2.7キロメートルの幅しか残っていないという。

 南極半島は、南極大陸北側の南米側に突き出た部分で、ここ数十年で最も温暖化が進んでいる場所の1つだとされている。今回確認されたように、分離が進んでいるのも大気の温度が最も低い南半球の冬の季節だ。

 原因については、オーストラリア周辺の南洋(Southern Ocean)から流れてきた温かい海水が、ウィルキンス棚氷の下部に流れ込み、その部分から急速に溶け出していっているのではないかとの見方があげられている。(c)AFP