【6月30日 AFP】絶滅が危ぶまれるオサガメの産卵地として知られるマレーシアの海岸で、2年ぶりにオサガメの産卵が確認された。しかし専門家は貴重な卵がふ化しないのではないかと懸念している。

 巣が見つかったのはトレンガヌ(Terennganu)州のRantau Abangの海岸で、今月23日と24日、2か所で産卵が確認された。前年には姿を見せなかったため、絶滅した可能性があると考えられていた。

 同州のウミガメ・海洋生態関連施設、Turtle and Marine Ecosystem Centreの職員が卵を回収したが、回収できた卵はわずか41個で、予想の半分を下回った。

 州の水産当局責任者は「これは不幸なことだ。最初の産卵場所にはまったく卵がなかった。2か所目で41個の卵を見つけられたのは幸運だった」と話した。

 この責任者は地元住民が卵を盗んだとみている。盗まれた卵は近くの市場で違法に販売される。同州ではオサガメの卵を売ることは禁止されているが、それ以外のウミガメの卵は売買可能だ。

 オサガメはウミガメの中で最大で、約7500万年前から生息しており、何度も絶滅の危機にひんしている。

 マレーシア唯一のオサガメの産卵地トレンガヌ州ではかつて、オサガメが観光の目玉だったが、乱獲や密猟、汚染が原因で生息数が激減している。

 1950年代には毎年雌ガメ最大1万匹が産卵のため砂浜に上陸していたが、84年までにその数は800匹に減少、さらに2006年には雌ガメ2匹が5か所に産卵していることが確認されたのみだった。この時の卵はふ化しなかった。(c)AFP/Ivy Sam