【6月24日 AFP】海草類からのバイオ燃料の生産に関する研究で、アイルランドが重要な役割を担う可能性がある。同国西部ゴールウェー(Galway)で開催中の「国際応用藻類学会(International Society for Applied Phycology)」の会議で、研究者らが明らかにした。

 植物資源から作る燃料「バイオエタノール」の原料は通常、サトウキビやトウモロコシなどの穀物だが、海草類についても長い間、原料としての可能性が研究されてきた。ただし、商品化には技術的な問題が残ってきた。

 海草類が豊富なアイルランドは「次世代バイオ燃料の生産において、重要な役割を担う用意がある」と、アイルランド国立大学ゴールウェー校(National University of Ireland in Galway)アイルランド海草センター(Irish Seaweed Centre)のStefan Kraan所長は述べた。

「バイオマス資源は、食糧価格高騰や水利用の拡大、生態系の多様性や熱帯雨林などの破壊が起こる原因と言われているが、藻類には陸生バイオマス資源と違い、悪いイメージはない」という。

 同学会の会合は毎年開催されるが、今年はワカメなど褐藻類のバイオエタノール生産への利用について、経済的・社会的な影響を検証している。

 豪マードック大学(Murdoch University)のMichael A. Borowitzka教授は会議で、バイオ燃料に使用される菜種、ピーナツ、やし油などの穀物に比べて、より多くの油を含み、かつ海水で成長できる藻類は多数あると述べた。

 アイルランドには商品利用が可能な海草類が16種あり、食品、肥料、土壌改良剤、化粧品、調合薬剤、生命工学、生物医学などの分野で使用されている。研究が進めばさらに多くの種類が使用可能になるとみられている。(c)AFP