【5月14日 AFP】アイルランドのミミズが同国に対し、年間約7億ユーロ(約1100億円)以上相当の働きを行っていることが、同国の環境・遺産・地方自治省が委託した研究の報告書で明らかとなった。

 アイルランドの生物学的多様性の利益とコストに関する197ページにわたる報告書では、その社会的・経済的側面が調べられている。

 ジョン・ゴームリー(John Gormley)環境・遺産・地方自治相は、「報告書では、生物学的多様性が生み出す生態系から派生する価値と、生物学的多様性の保護政策の導入にかかるコストを比較した結果、アイルランドに対するその限界価値は年間で少なくとも26億ユーロ(4200億円)に上ることが証明された」と明らかにした。

 アイルランドには約700万頭の牛が生息し、牛1頭につき年間9トンの排泄物が出るが、報告書の試算では、ミミズが排泄物を分解して除去し栄養素を土に返すことで、年間約7億ユーロ相当の働きを行っているという。

 報告書では、アイルランドにおけるミミズの経済的な重要性が過小評価されている可能性もあると指摘されており、ミミズの存在は畜産業で年間最大7億2300万ユーロ(約1170億円)相当の働きを提供するという。

 同様に、耕作や植物栽培、特に土壌構造に与える重要な働きも加えれば、ミミズが提供する働きの価値は10億ユーロ(約1600億円)以上に上る可能性もあるという。(c)AFP