【5月7日 AFP】極寒地域よりも熱帯に住む動生物の方が地球温暖化による絶滅のリスクを受けやすいとする米ワシントン大学(University of Washington)主導の研究チームによる論文が、『米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of SciencesPNAS)』の5月6日号に掲載された。

 研究チームは、1950年から2000年までの地球の気温を毎日および月ごとに調べたものに国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)が公表した21世紀初頭の温暖化予測を加えたものと、温帯や熱帯に住むカエル、トカゲ、カメなどの冷血(変温)動物や昆虫など38種について気温への順応能力を示すデータとを比較した。

 その結果、ホッキョクグマは気温が氷点下になると毛皮を厚くして身を守ることが分かった。一方、熱帯に住む動生物は気温の上昇に対して直射日光を避ける、地中にもぐるなどの方法で対処していた。

 ただし、温暖化は熱帯の動生物の生理機能が適応するよりもはるかに早く進む可能性があるため、そのような対処法は役に立たないと研究チームは指摘している。

 研究チームによると、極寒地域は年間の気温差が大きいため、そこに住む動生物は気温変化への順応能力が高いが、気温変化の少ない熱帯の動生物はたったセ氏2-4度の気温上昇でも、絶滅のリスクが高いという。

 また、研究を主導したワシントン大学のジョシュア・テュークスベリー(Joshua Tewksbury)准教授によると、熱帯の動生物は成長に最適な、またはそれに近い気温の中で生息しており、その最適温度を超えると適応能力が急速に下降し、ほとんど対処できなくなるという。

 論文の共著者、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California, Los AngelesUCLA)のCurtis Deutsch准教授は、「残念なことに、地球上の大半の動生物が熱帯に生息する」と懸念を示している。(c)AFP/Jean-Louis Santini