【4月30日 AFP】南極海で捕獲され、解凍が進められている世界最大のイカの目玉が「ビーチボール」ほどの大きさがあったことが30日わかった。研究チームの1人は「おそらく、動物界の歴史上最大の目玉」と驚きを述べている。

 ニュージーランドの首都ウェリントン(Wellington)にあるニュージーランド博物館(The Museum of New Zealand)の研究チームが好奇心いっぱいのまなざしで解凍を見守っているのは、2007年2月に南極海域で漁船が偶然捕獲した重さ495キロのダイオウホウズキイカ(Mesonychoteuthis hamiltoni、別名コロッサル・スキッド、colossal squid)。

 解凍作業に予定よりも時間がかかる中、30日には人間の目玉の11倍もある直径27センチの目玉が取り出された。水晶体は直径10-12センチの大きさだった。

 しかし、このサイズも解凍後のつぶれた状態でのもの。実際に生きていたときのイカの目玉は直径40センチはあったと見られている。

「生きていたころのイカの目玉のサイズは、ビーチボールぐらいの大きさだっただろう」と説明するスウェーデンのルンド大学(University of Lund)のEric Warrant教授は、「研究史上、最大の目玉であることは間違いない。おそらく、動物界の歴史上、最大の目玉だろう」と、博物館のホームページ上にあるブログに掲載した。

 南極海の1000メートル以上の深海の暗闇で、この目玉がえさを見つけるのに役立っている。

 イカの正確な寸法は、解凍が完了する30日遅くまでわからないが、全長は8メートル以上になると見られている。

 2本の長い触腕には鉤(かぎ)のようなものが最大で25個、また残りの8本にも19個ついており、イカが獲物を捕獲し口に持っていく際に使用している。

 性別はまだわかっていないが、メスの可能性が高い。メスはオスよりも大きなサイズに成長する。

 研究チームは、南洋の深海には、さらに大きなイカが潜んでいると見ている。

 今回捕獲されたイカの下クチバシは長さ40ミリメートルだが、イカを捕食するマッコウクジラの胃の中から49ミリメートルの下クチバシが発見されたこともある。

 研究チームの1人、オークランド工科大学(Auckland University of Technology)海洋生物学のSteve O'Shea博士は、確かな根拠はまだ十分にはないが、ダイオウホウズキイカが重さ750キロに成長する可能性もあると主張する。

「2003年にイカが重さ500キロになると発表した時は、誰も信じてくれないどころか、人々に冷笑されたものだよ」と、O'Shea博士は述べた。

 解凍の様子は、博物館の公式ウェブサイト(www.tepapa.govt.nz)で見ることができる。(c)AFP