【4月19日 AFP】米研究員のチームは16日、3年間にわたる調査の末、ベトナム北部で伝説の巨大スッポンの個体を見つけたと発表した。科学者や現地住民に大きな驚きをもたらすことになりそうだ。

 シャンハイハナスッポン(Swinhoe's Soft-shell Turtle)と呼ばれるこのスッポンは自然界ではすでに絶滅したと考えられていた。生存が確認される個体は、中国の動物園の2匹とベトナムの首都ハノイ(Hanoi)のホアンキエム湖(Hoan Kiem Lake)で飼育される1匹の計3匹だけにまで減少していた。

 このスッポンは、寿命が100年以上に達し、体重は135キロ、体長は1メートルまで成長するという。新たに発見された個体は沼の水面を泳ぐ姿をカメラで撮影された。発見したのは米クリーブランド・メトロパークス動物園(Cleveland Metroparks Zoo)の研究員ら。

 同動物園のダグ・ヘンドリー(Doug Hendrie)氏は、「シャンハイハナスッポンはベトナム人にとって伝説的生物であり、今回の発見により伝説はさらに受け継がれていくことになるだろう」と話す。

 ベトナムの言い伝えによると、15世紀、農民出身の反乱指導者レ・ロイ(Le Loi)は魔力を持つ剣を駆使して中国軍を追い返し、自らの名をつけた王国を築いた。

 王となったレ・ロイがある日、ホアンキエム湖で小舟に乗っていると1匹のカメが姿を現し、レ・ロイから魔剣を受け取ると、湖底に消えて行ったという。カメはベトナムが次に存亡の危機に立たされるときまで魔剣を安全な場所に保管していると伝えられている。

 シャンハイハナスッポンは現在、乱獲が原因で絶滅に瀕している。肉は食用とされ、骨からは伝統的な薬が作られるという。(c)AFP