【3月19日 AFP】2月の北極海(Arctic Ocean)の氷は厳しかった冬の天候のおかげで1年前に比べてわずかに増えた一方、年間を通して溶けない安定した氷は減少傾向にある。米航空宇宙局(NASA)が18日、共同記者会見で明らかにした。

 米コロラド大学ボールダー校(University of Colorado in Boulder)国立雪氷データセンター(National Snow and Ice Data Center)のウォルター・マイヤー(Walter Meier)氏は共同会見で、増えた氷を映画のセットにたとえ、「一見問題ないように見えるが、実際にはその裏側には何もない」と語り、「2月はわずかな回復が見られた。平年より低い気温のおかげで表面付近の氷はやや増加したが、これは薄くて弱い季節的な氷で、簡単に解けてしまう」と述べた。

 NASAのICESat衛星による氷冠観測によれば、年間を通じて溶けない安定した氷は減少しているという。20年ほど前は、北極海の50-60%が1年を通じて氷で覆われていた。それが現在では30%程度だという。

 人間の活動で排出される温室効果ガスによる地球温暖化は、氷河の後退や極地の氷の減少に大きな影響を与えているという。(c)AFP