【3月14日 AFP】軍用地でのカンガルー大量駆除に批判が高まるオーストラリアで14日、国民の大半はカンガルー肉を食べたことがあり、食肉としての消費拡大には、パイや挽肉、ランチョン・ミートへの加工が最適とする調査結果が、地元メディアで発表された。

 オーストラリアでは毎年、野生のカンガルー数百頭が過剰繁殖を理由に駆除されており、その肉の大半はペットフードの原料に回されている。そのため、食肉として好まれる加工調理法の研究が続けられている。

 今回発表された最新の消費動向調査「Consumer attitudes to kangaroo meat products(カンガルー肉製品に対する消費者意識)」で、研究者のPeter Ampt、ケイト・オーウェン(Kate Owen)両氏は、カンガルーを「究極の放し飼い食品」だと評価している。

 調査によると、カンガルー肉を食べた経験があると答えた人は58%と、10年前の51%を上回っており、両氏は今後この数値はさらに伸びると示唆している。

 カンガルー肉を使用できる最も有望な製品としては、挽肉、ランチョン・ミート、パイなどが挙げられた。パイの場合は、カンガルー肉だけを使用した場合よりも、牛肉と混ぜた「Chunky Beef & Roo(歯ごたえのある牛とカンガルー)」パイの方が消費者に好まれることが分かった。

 カンガルー肉のソーセージは「kanga-bangers」として既に市場に出回っており、
観光客向けの土産物店では、カンガルーの陰のうで作った財布や、カンガルーの手足で作った孫の手などが販売されている。

 政府統計によると、カンガルーの個体数は、この20年間、1500万匹から5000万匹の間で推移している。生息頭数は季節的な要因で変動するという。

 オーストラリアでは最近、過剰繁殖を理由に国防省の所有地で野生のカンガルー400頭を駆除する計画が進められており、国際的な批判が高まっている。

 英国を拠点とする獣医らの動物愛護団体「Viva! (Vegetarians International Voice for Animals)」は、ウェブサイトに設けたカンガルー駆除に反対する請願書に2000人以上の署名が集まったとし、地元の活動家らは駆除が行われる軍用地を15日から封鎖すると警告していることを明らかにした。

 Viva!支援者のひとり、元ビートルズ(The Beatles)のポール・マッカートニー(Paul McCartney)さんは、営利目的でのカンガルー猟を「恥ずべき虐殺」だと非難している。(c)AFP