【3月14日 AFP】前年12月に韓国西岸沖合で発生した、タンカーの衝突による同国史上最悪の原油流出事故は、海洋生物の生息数が激減したり海中の食物連鎖が危機的な状況になるなど、現場海域の生態系に重大な影響を与えていることが、13日に発表された韓国環境省の報告書で明らかになった。

 この報告書によると、事故前は1平方メートルあたり8種類133匹の生物が確認されていたのに対し、事故後は同5種類56匹に激減していた。また、残留原油で著しく汚染された貝類も発見されているという。

 また、海草の密集度は、2007年2月の状態と比較して、43%も減少していたという。さらに、海草の種類によっては、47%も減少しているものもあるという。

 事故は前年12月7日、韓国の西岸沖で発生した。香港(Hong Kong)船籍のタンカー「Hebei Spirit」と、サムスン重工業(Samsung Heavy Industries)のバージ船が衝突し、原油1万トン以上が流出。泰安(Taean)を始めとする沿岸部では、漂着した原油で魚の養殖施設や海岸が大きな被害を受けた。この事故では、補償交渉の遅れから漁業関係者ら3人が自殺している。

 タンカーやバージ船の船長ら5人が、職務怠慢や汚染防止関連法の違反で起訴され、現在、裁判中。また、タンカーの所有会社とサムスン重工業も同法違反で起訴されている。(c)AFP