ミズナギドリの一種、80年ぶりに発見される
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【3月8日 AFP】(3月10日 一部更新)希少種、ミズナギドリの一種Beck's Petrelが2007年にパプアニューギニアの南太平洋沖で約80年ぶりに発見されていた。英国王立鳥類保護協会(Royal Society for the Protection of Birds、RSPB)が7日、明らかにした。
同協会によると、パプアニューギニア北東部を船で移動していたイスラエルの鳥類学者Hadoram Shirihai氏が、30羽以上のBeck's Petrelを撮影。中にはひな鳥も含まれていたことから、繁殖地が近くにあるとみられている。同氏の報告は7日発行の英国鳥類学者クラブ(British Ornithologists' Club)の機関誌最新号に掲載されている。
これまで生存が確認されたBeck's Petrelは2羽のみ。いずれも、1920年代後半に鳥類学者Rollo Beck氏が博物館の標本として同地域から持ち帰った2ものだ。
Shirihai氏は2003年に同地を訪れた際、Beck's Petrelの可能性がある鳥を目撃した。さらに調査を進めるために前年同地域に戻り、同種の発見に至った。
RSPBは、2006年にオーストラリア北東部のコーラル海(Coral Sea)沖でツアーガイドがBeck's Petrelの可能性のある鳥を目撃したことから、同種が絶滅していない可能性があるとしていた。だが、ガイドが撮影したその鳥の写真は決定的な証拠とはならなかった。一方、今回のShirihai氏の写真は「疑いの余地がない」という。
Beck's Petrelの繁殖地にネズミやネコのような捕食動物がおり、パーム油農場開発のための伐採が広く行われる限り、同種の保護は難しいという。さらに、夜間にしか巣に戻らないとみられることも、保護を難しくしていると専門家らは指摘する。
RSPBの上級生物学者ジェフ・ヒルトン(Geoff Hilton)氏は「そうだとしても、この『失われた』鳥の発見はすばらしいニュースだ。発見のために多大な時間と努力を払った方々にお祝いを言いたい」との声明を発表している。「長い間絶滅したと思われていた種を発見するほどうれしいことはない。これを機に、保護に努めなければならない」
Beck's Petrelは、国際環境NGOバードライフ・インターナショナル(BirdLife International)によって最も絶滅の危険性が高い絶滅危惧種に分類されている。背中とのどが濃い茶色で腹部の色は薄く、主に直線翼で海水近くを低飛行する。(c)AFP