【2月19日 AFP】オーストラリアの科学者が18日、「記録更新を続けている南洋の温度上昇は、南極海の温暖化および海面上昇を裏付けるもの」とする研究結果を発表した。

 豪・仏・米が共同で行ったこの研究は、フランスのデュモン・デュルビル(Dumont d’Urville)基地へ定期的に物資などを運ぶ補給船「l'Astrolabe」によって15年以上かけて集められたデータを基にしたもの。

 豪州連邦科学産業研究機構(Australian Commonwealth Scientific and Research OrganisationCSIRO)を指揮するSteve Rintoul博士は、このデータによって、厳しい環境の南極海が地球の気候に与える影響について科学者らが調査を進めるための基盤ができたと語る。

「結果は一言で言えばとても簡潔で、つまり、海の温度は上昇しているということだ。海洋の上部では10分の数度の上昇がみられる。南洋のどこで観測するかにもよるが、だいたい0.3度ぐらいの上昇と考えていいだろう」(Rintoul博士)

 同博士によると、地球上のすべての海で温度が上昇するなか、南洋の深海部の温度上昇は特に深刻だという。

「南洋よりも大きな温度変化を記録した場所も複数あるが、南洋が吸収している熱はほかのどこの海よりも多い。これは、南洋の海面がほかのどの海よりも上昇する傾向にあることを示している」(Rintoul博士)

 研究を行った過去10年あまりの期間だけで、南洋の海面は3センチほど上昇したことが確認された。

 同博士によると、世界最大の海流である環南極海流が長期的にどう変化するかが、この研究によって初めて明らかになったという。

 また、南洋の風向きの変化が南極棚氷の融解を招き、近年のオーストラリアの干ばつを引き起こした可能性についても調査が行われたという。(c)AFP