【1月8日 AFP】インドネシア・スマトラ(Sumatra)島では、作物を食いあらすゾウの群れと人間とのいたちごっこが繰り広げられている。だが、現在のところゾウたちが人間を出し抜いている状態だという。同国の国営アンタラ(Antara)通信が7日、報じた。

 同国ランプン(Lampung)州のウェイカンバス(Way Kambas)国立公園の園長がアンタラ通信に語ったところによると、今月3日から25-30頭のゾウの群れが夜になると国立公園の外に出て行き、作物を荒らしているという。

 ゾウたちは、国立公園と畑との間を隔てている盛り土を、お互いの鼻を引っ張り合って乗り越えているという。電流が流れているフェンスも設置されているが、ゾウたちは木の幹を使ってフェンスを倒してしまっているという。

 ゾウを追い払うのにたいまつも使われていたが、ゾウたちはもはやそれを怖がらなくなっており、園長は「以前と異なり、追い払うことができない」と嘆く。

 園長は「現在のような雨期には、(ピーナッツやタロイモ、ヤムイモなどの)代替作物が植えられる。ゾウたちはこの作物は手軽に食べられると知っている」と語る。

 スマトラ島では、入植や大規模農場、工業団地などの拡大によって森林が急速に減少していることから、野生動物と人間との間に起きる問題が増加傾向にある。ゾウたちも以前はたまにしか姿を見せなかったという。

 自然保護団体の世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)によると、2003年の段階でスマトラ島に生息する野生のゾウはわずか350-430頭に過ぎないという。(c)AFP