ナポリの未回収ごみ問題、混迷極める
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【1月7日 AFP】イタリア南部のナポリ(Naples)および周辺部で、街中に未回収のごみがあふれている。ジョルジョ・ナポリターニ(Giorgio Napolitano)大統領は6日、解決しなければならない「悲劇」だと述べ、状況を糾弾した。7日にはこの問題に対処するため、緊急閣議が招集される。
■行き場を失ったごみ10万トン
ナポリ周辺では以前から、ごみ処分場に関する問題が度重なっているが、今回は周辺部全体で推計10万トン、同市だけでも4500トンが行き場を失っていると、伊ANSA通信は報じている。雨のため悪臭はある程度抑えられているものの、ナポリ市街のごみ収集箱はあふれ、路上にはごみ袋が散乱している。
ナポリ出身のナポリターニ大統領は報道陣に、ごみ問題が「紛れもない悲劇になった。解決は必至だ」と語った。
カトリック教会ではナポリ西方ポッツォーリ(Pozzuoli)司教区のGennaro Pascarella司教が、同区の礼拝の中で「この問題は人間の尊厳に反している。われわれの土地につけられた大きな傷であり、経済発展を行き詰まらせている」とメッセージを読み上げた。
■衛生環境を憂慮し、休校求める自治体
ロマーノ・プローディ(Romano Prodi)首相は5日、政府としてこのごみ問題に最終的な決着をつける措置を講じたいと述べた。7日には、同問題に対処するため緊急閣議が招集される。
また同首相は周辺自治体に対し、予定通り7日から授業を再開するよう命じた。各市長は衛生環境を憂慮して反対したが、首相は「環境は自宅でも学校でも同じ」だとして再開を命じた。
ANSA通信によると、アルトゥロ・パリージ(Arturo Parisi)国防相は6日、学校周辺に積み上げられたごみの処分を支援するため、軍の車両を貸し出す用意があると地元自治体に協力を申し出た。
ナポリのごみ処理問題は10年以上前にまでさかのぼる。1994年以降、ごみ処分場は数回、造成されたが、繰り返し満杯になっている。
■不法投棄でマフィア介入、問題は悪化
問題は地元マフィア「カモラ(Camorra)」の介入により悪化している。
捜査当局によると、カモラはトラック運送業者を雇い、イタリア北部の工場から出た産業廃棄物を違法に運ばせ、合法的なごみ処分取引の価格を下落させている。またカモラはナポリ周辺の山腹を爆破して穴を開け、運ばせた産廃を不法投棄している。
また、不法なごみの持ち込みを取り締まる一環として、過去には何度か複数の処分場が閉鎖されている。昨年5月に3施設が再開したが、ごみは満杯のままで、ナポリ初となる新しいごみ焼却炉の完成は2009年まで待たなければならない状況だ。
■旧施設再開への反対デモ、警官隊と衝突へ
ナポリ当局は西郊Pianuraにある11年前に閉鎖された古い施設を再開しようとしたが、汚染を懸念する住民らが前週から反対デモを行っている。ごみ問題の緊急閣議を目前に、週末から7日にかけては、デモと警官隊が衝突する事態に発展している。
住民らは道路を封鎖するため路上に木の幹などを放置しているほか、駐車しているバスに放火し、繰り返し警官隊と衝突している。
地域一帯の住民は、ごみの未回収に対する怒りをぶつけ、放置されているごみの山に火をつけ燃やしているが、これによりダイオキシンなど有害物質が発生する皮肉な結果を招いている。
7日午前8時ごろ、デモ隊からの投石を避けながら近づいた警官隊は処理場へ至る道路上に住民らが作った第1のブロックを撤去した。デモの参加者3人が負傷した。後に機動隊がデモ隊を阻止している間に、救急隊が2番目のブロックを撤去したとANSAでは報じている。
欧州連合(European Union、EU)は前年6月、ナポリ地域でのごみ放置がEUの廃棄物関連法に違反しているとして、イタリアに対する調査を開始した。(c)AFP
■行き場を失ったごみ10万トン
ナポリ周辺では以前から、ごみ処分場に関する問題が度重なっているが、今回は周辺部全体で推計10万トン、同市だけでも4500トンが行き場を失っていると、伊ANSA通信は報じている。雨のため悪臭はある程度抑えられているものの、ナポリ市街のごみ収集箱はあふれ、路上にはごみ袋が散乱している。
ナポリ出身のナポリターニ大統領は報道陣に、ごみ問題が「紛れもない悲劇になった。解決は必至だ」と語った。
カトリック教会ではナポリ西方ポッツォーリ(Pozzuoli)司教区のGennaro Pascarella司教が、同区の礼拝の中で「この問題は人間の尊厳に反している。われわれの土地につけられた大きな傷であり、経済発展を行き詰まらせている」とメッセージを読み上げた。
■衛生環境を憂慮し、休校求める自治体
ロマーノ・プローディ(Romano Prodi)首相は5日、政府としてこのごみ問題に最終的な決着をつける措置を講じたいと述べた。7日には、同問題に対処するため緊急閣議が招集される。
また同首相は周辺自治体に対し、予定通り7日から授業を再開するよう命じた。各市長は衛生環境を憂慮して反対したが、首相は「環境は自宅でも学校でも同じ」だとして再開を命じた。
ANSA通信によると、アルトゥロ・パリージ(Arturo Parisi)国防相は6日、学校周辺に積み上げられたごみの処分を支援するため、軍の車両を貸し出す用意があると地元自治体に協力を申し出た。
ナポリのごみ処理問題は10年以上前にまでさかのぼる。1994年以降、ごみ処分場は数回、造成されたが、繰り返し満杯になっている。
■不法投棄でマフィア介入、問題は悪化
問題は地元マフィア「カモラ(Camorra)」の介入により悪化している。
捜査当局によると、カモラはトラック運送業者を雇い、イタリア北部の工場から出た産業廃棄物を違法に運ばせ、合法的なごみ処分取引の価格を下落させている。またカモラはナポリ周辺の山腹を爆破して穴を開け、運ばせた産廃を不法投棄している。
また、不法なごみの持ち込みを取り締まる一環として、過去には何度か複数の処分場が閉鎖されている。昨年5月に3施設が再開したが、ごみは満杯のままで、ナポリ初となる新しいごみ焼却炉の完成は2009年まで待たなければならない状況だ。
■旧施設再開への反対デモ、警官隊と衝突へ
ナポリ当局は西郊Pianuraにある11年前に閉鎖された古い施設を再開しようとしたが、汚染を懸念する住民らが前週から反対デモを行っている。ごみ問題の緊急閣議を目前に、週末から7日にかけては、デモと警官隊が衝突する事態に発展している。
住民らは道路を封鎖するため路上に木の幹などを放置しているほか、駐車しているバスに放火し、繰り返し警官隊と衝突している。
地域一帯の住民は、ごみの未回収に対する怒りをぶつけ、放置されているごみの山に火をつけ燃やしているが、これによりダイオキシンなど有害物質が発生する皮肉な結果を招いている。
7日午前8時ごろ、デモ隊からの投石を避けながら近づいた警官隊は処理場へ至る道路上に住民らが作った第1のブロックを撤去した。デモの参加者3人が負傷した。後に機動隊がデモ隊を阻止している間に、救急隊が2番目のブロックを撤去したとANSAでは報じている。
欧州連合(European Union、EU)は前年6月、ナポリ地域でのごみ放置がEUの廃棄物関連法に違反しているとして、イタリアに対する調査を開始した。(c)AFP