【12月13日 AFP】自転車、ソーラータクシー、ゴミのリサイクル、空調コスト削減のためのノーネクタイの会議-。インドネシアのバリ(Bali)島で今月3日から14日まで開催中の国連気候変動枠組条約締約国会議(UN Framework Conference on Climate ChangeUNFCCC)では、地球温暖化防止に役立つありとあらゆる手段が駆使されている。

 しかし、このような涙ぐましい取り組みも、「会議が大量の炭素を排出している」という恐ろしい現実を回避する手助けにはなっていないようだ。

 主催者によると、UNFCCCで排出される主要温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)量は1人当たり平均で4.7トンに上るという。仮に1万人の代表団、活動家、記者団などが会議に出席したとすると、現地までの移動や会議中に排出されるCO2は4万7000トンにも達する計算となる。あるウェブサイト上の計算ツールによると、これは10万台の車がそれぞれ3300キロを走行した場合に排出するCO2量に相当する。

 この膨大な排出量の大半は、代表団が北米や欧州などの遠方から、化石燃料を大量に消費する空路を利用することに起因している。さらに、バリ島の蒸し暑さを会議会場から締め出すために、さまざまなエネルギーコストがかかっている。

 UNFCCCのイボ・デ・ブーア(Yvo de Boer)事務局長は前週AFPに対し、「この会議は大量のCO2を排出している。1日の終わりには、一層のCO2削減で合意できればと思う」と語った。

 2012年に期限切れとなる京都議定書以降の地球温暖化対策の枠組みを話し合う会議で、このように大量のCO2を排出していることに後ろめたさを感じたのか、国連関連機関や非政府組織(NGO)は排出量を削減するための「炭素相殺プロジェクト」に取り組み始めている。

 同プロジェクトは、該当の組織が排出するCO2と同量のCO2削減プロジェクトに投資することができるというもの。

 インドネシアは、CO2を吸収する7900万本の木を植える方針を示した。国際環境保護団体グリーンピース(Greenpeace)は、専門家が真の相殺効果があると認めた「ゴールドスタンダード」と呼ばれるプロジェクトに投資したほか、バリ島までの移動で生じるCO2を相殺するために再生可能エネルギー権を購入したという。(c)AFP/Sebastien Blanc