【11月30日 AFP】バイオエタノールの原料に適したサツマイモの開発に成功したとの研究結果を、米国の研究チームが29日発表した。産業用サツマイモの開発により、バイオ燃料業界で論争の的となっているトウモロコシの大量使用に歯止めがかかるかもしれない。

 研究を主導したのは、ノースカロライナ州立大学(North Carolina State University)で野菜の代替利用法の開発研究チームを率いるクレイグ・イェンチョ(Craig Yencho)准教授(園芸学)。

 研究チームは、原料重量当たりのバイオエタノール生産量がトウモロコシよりも優れた高デンプン質の産業用サツマイモの開発において、進展がみられているとの研究報告を発表した。

 イェンチョ氏によると産業用サツマイモは、「おばあさんの畑で収穫されるサツマイモと違い、食べられるが、味はよくない」という。産業用サツマイモは、白色の果肉が紫色か白の外皮に包まれており、甘みを抑える成分であるデンプン質が食用サツマイモよりもかなり多く含まれている。

 米国ではトウモロコシ、ブラジルではサトウキビを原料に生産されているバイオエタノールは、用途は限られるものの石油に代わる燃料と注目されている。しかしエタノール需要の高騰により、トウモロコシを含む食品価格が跳ね上がるなど、石油依存とは異なる問題が浮上している。

 サツマイモを原料としたバイオエタノール生産の課題として、研究チームは費用の低減を上げている。サツマイモは手作業で植えられることから、トウモロコシに比べると生産コストが高い。

 イェンチョ氏は費用削減方法として、「ジャガイモと同じようにサツマイモを刻んだ種芋の状態にし、機械で植えることができれば、生産コストは半減される」とした上で、「そうすれば、サツマイモを原料としたバイオエタノールの生産はこれまでよりずっと費用効率がよくなり、実現可能性が高くなる。産業用サツマイモは、トウモロコシよりもずっと有望なバイオエタノール原料というだけではなく、食料源を奪うこともない」と語り、産業用サツマイモに期待を寄せた。

 イェンチョ氏は現在、世界有数のサツマイモ産出国である中国で、サツマイモが持つバイオ燃料原料としての潜在能力を開発する研究支援にあたっている。(c)AFP