【11月26日 AFP】地球温暖化の影響は肉や牛乳からジャガイモ、野菜に至るまで、世界の食卓に上るあらゆる食品に及んでいる―。インドのハイデラバード(Hyderabad)で24日まで開かれていた農業と気候変動に関する会議で、各国の研究者が警鐘を鳴らした。

 研究者は、地球温暖化が家畜、野菜、穀物に及ぼす影響について調べ、病気に対する抵抗力を高めたり、強い品種を開発することを目指している。家畜や作物に影響が出れば、最も打撃を受けるのは生産者、消費者を含め、世界10億の貧困層だ。

「ある意味で、手を打つべき時は既に過ぎ、変化は既に起こり始めている」と指摘するのは、ケニアのナイロビ(Nairobi)にある国際家畜研究所(International Livestock Research InstituteILRI)のジョン・マクダーモット(John McDermott)副所長。例えば蚊を媒介として人畜に感染するリフトバレー熱は、地球温暖化によって感染が広がっていると同氏は言う。東アフリカや中東では、乾燥地帯の気候変動で蚊やツェツェバエ、ダニなどが繁殖しやすくなり、ウイルス発生地域が拡大しているという。

 貧困層にとって家畜は生活の糧であると同時に、家族の緊急時などに対応するための蓄えにもなる。自分たちでは環境にほとんど影響を与えていないこうした層が、地球温暖化で助長され得る家畜の病気拡大によって、最も大きな打撃を受ける可能性があるとMcDermott氏は話す。

 一方、ジャガイモ、トマト、キャベツ、ホウレンソウ、タマネギ、ニンニクといった野菜についても、地球温暖化対策を検討するため生育や病気のパターンについて調査が行われている。

 台湾にあるWorld Vegetable Centreのジャッキー・ヒューズ(Jackie Hughes)副所長によると、気温が上がると仮定した場合、最も問題になるのは水だという。台風、サイクロン、ハリケーンが発生すれば、野菜の生産者は洪水や雨、昆虫から作物を守るため、違う種類の作物を植えたり、栽培場所の変更を強いられるかもしれないと同氏は予想する。

 地球上には飢えや栄養失調に苦しむ人が10億人もおり、作物の地球温暖化対策に取り組むことは大切だとヒューズ氏は語った。

 さらに、天候が原因で発生するジャガイモの葉枯れ病に温暖化が及ぼす影響も懸念されている。この病原菌は繁殖の速度が極めて速く、1840年代にアイルランドで大飢饉(ききん)を引き起こす原因にもなった。(c)AFP/Anil Penna