【11月14日 AFP】中国最長の川、長江(揚子江、Yangtze River)に昨年1年間で排出された汚水の量は、過去最高の305億トンに達することが明らかになった。国営新華社(Xinhua)通信が13日に報じた。

 汚水の内訳は、工業・農業排水から生活排水、人のし尿までさまざまで、前年より9億トン(3.1%)も増加し、20年前と比較すると倍増しているという。

 汚水排出は広まっており、長江の汚染は深刻化している。昨年、世界最大の水力発電ダム、三峡ダム(Three Gorges Dam)が完成したが、そのせいで汚水がたまって「巨大な便器」と化し、水質悪化が加速しかねないと警告する環境学者もいる。

 アジア開発銀行(Asian Development Bank)も10月、中国の水質汚染について、急速な工業化と都市化により、警戒レベルに達したと警告した。新華社が引用している長江流域水資源保護局(Yangtze River Water Resources Commission)の報告によると、汚水排出の増加率が5%を切ったのは、2006年が初めてだという。

 また11月初旬に発表されたスイスと中国による共同調査の報告では、長江の水質汚染は「甚大」だが、政府が積極的な対策を行えば、環境被害は回復可能だとしている。

 流域には白ひれイルカや長江チョウザメなど、数多くの固有種の生物たちが存在するが、これらも絶滅の危機へと追いやられている。(c)AFP