「海洋のCO2吸収量は増加する」、ドイツ研究チームが発表
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【11月14日 AFP】海洋プランクトンが吸収する大気中の二酸化炭素(CO2)の量が今後増加すると考えられることがわかった。11日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に研究報告が発表された。
産業革命後、化石燃料由来のCO2は排出量の約半分が海洋に吸収されている。CO2は海洋表層で吸収された後、海底に沈殿する。
CO2吸収の過程で大きな役割を果たすのが、「植物性プランクトン」と呼ばれる微生物である。植物性プランクトンは光合成の一環として、海洋表層で溶解したCO2を吸収する。その後、死滅したプランクトンが海底に沈み、そこで数百万年にわたり炭素が蓄積される仕組みだ。
この過程で問題となるのが、海洋のCO2吸収容量である。もしも海洋が「水をたっぷり吸ったスポンジ」のようにこれ以上のCO2を吸収できない状態にあるとしたら、温室効果ガスの1つであるCO2の大気中濃度が急増し、地球温暖化が加速することになる。
もう1つの問題は、CO2濃度の増加により、海水の酸性化が起きることである。海水の酸性化はサンゴの溶解を引き起こすことで知られるが、その他の海洋生物への影響についてはほとんどわかっていない。
今回の研究で、研究チームはノルウェー南部のRauneフィヨルドを一部閉鎖し、9つの大型海水タンクを3種類の異なるCO2濃度下に置き、プランクトンの生態について調査した。
CO2濃度は、現在のレベル、その2倍(2100年レベル)、その3倍(2150年レベル)という3種類を設定。タンク内のプランクトンに、海中にいるときとほぼ同様の状態になるように栄養素を適宜与え、その後24日間でプランクトンの個体数がどのように変化するか観察した。
その結果、CO2濃度が高ければ高いほど、プランクトンの個体数が増えることがわかった。また、CO2濃度の高いタンク内のプランクトンは、栄養素の供給を必要とせず、CO2吸収量が最大で39%増となった。
研究チームを主導したドイツ南部キール(Kiel)にあるリープニッツ海洋科学研究所(Liebniz Institute of Marine Sciences)のUlf Riebesell教授は実験結果について、「CO2の海洋吸収が気候変動問題でいかに重要か」を示すものだと語った。
研究報告は、大気中のCO2の海洋吸収は藻類の大発生を引き起こし、海洋の一部で酸素を枯渇させると同時に、海中の栄養バランスを崩し、食物連鎖に影響を及ぼすなどの恐れがあるとも警告している。(c)AFP
産業革命後、化石燃料由来のCO2は排出量の約半分が海洋に吸収されている。CO2は海洋表層で吸収された後、海底に沈殿する。
CO2吸収の過程で大きな役割を果たすのが、「植物性プランクトン」と呼ばれる微生物である。植物性プランクトンは光合成の一環として、海洋表層で溶解したCO2を吸収する。その後、死滅したプランクトンが海底に沈み、そこで数百万年にわたり炭素が蓄積される仕組みだ。
この過程で問題となるのが、海洋のCO2吸収容量である。もしも海洋が「水をたっぷり吸ったスポンジ」のようにこれ以上のCO2を吸収できない状態にあるとしたら、温室効果ガスの1つであるCO2の大気中濃度が急増し、地球温暖化が加速することになる。
もう1つの問題は、CO2濃度の増加により、海水の酸性化が起きることである。海水の酸性化はサンゴの溶解を引き起こすことで知られるが、その他の海洋生物への影響についてはほとんどわかっていない。
今回の研究で、研究チームはノルウェー南部のRauneフィヨルドを一部閉鎖し、9つの大型海水タンクを3種類の異なるCO2濃度下に置き、プランクトンの生態について調査した。
CO2濃度は、現在のレベル、その2倍(2100年レベル)、その3倍(2150年レベル)という3種類を設定。タンク内のプランクトンに、海中にいるときとほぼ同様の状態になるように栄養素を適宜与え、その後24日間でプランクトンの個体数がどのように変化するか観察した。
その結果、CO2濃度が高ければ高いほど、プランクトンの個体数が増えることがわかった。また、CO2濃度の高いタンク内のプランクトンは、栄養素の供給を必要とせず、CO2吸収量が最大で39%増となった。
研究チームを主導したドイツ南部キール(Kiel)にあるリープニッツ海洋科学研究所(Liebniz Institute of Marine Sciences)のUlf Riebesell教授は実験結果について、「CO2の海洋吸収が気候変動問題でいかに重要か」を示すものだと語った。
研究報告は、大気中のCO2の海洋吸収は藻類の大発生を引き起こし、海洋の一部で酸素を枯渇させると同時に、海中の栄養バランスを崩し、食物連鎖に影響を及ぼすなどの恐れがあるとも警告している。(c)AFP