【10月19日 AFP】来日中の国連(UN)の気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)のラジェンドラ・パチャウリ(Rajendra Pachauri)議長は19日、アジア諸国は特に気候変動に対してぜい弱であるとの警告を発し、早急に対策をとるよう求めた。

 都内で同日から2日間の日程で開催されているGEA国際会議2007の特別講演で述べたもの。パチャウリ議長は「アジア諸国は人口が過密状態にある。気候変動に対するアジア諸国のぜい弱性は重大な問題だ」と語り、早急に対策を取らなければアジア諸国は洪水被害や水資源・食糧の不足に見舞われるだろうと指摘した。

 パチャウリ議長はさらに「特に貧困にあえぐ地域が、技術力不足などから大きな被害に遭う危険性が高い。たとえば南アジア、東南アジア、東アジアの沿岸地域では、洪水が発生し数百万人が被害に遭うだろう」と分析した。

 また、人口が過密状態にあるデルタ地帯では、気温上昇がこのまま続けば、農作物にも多大な影響が及ぶ恐れがあるとした。

 IPCCは今年のノーベル平和賞を受賞。受賞についてパチャウリ議長は、気候変動問題と世界の平和と安定のかかわりが認識されたあかしと語った上で、水資源の奪い合いを要因とする紛争発生の危険性を指摘した。

 スーダンのダルフール(Darfur)紛争は、気候変動により引き起こされた世界最初の紛争と言われている。国連の統計によれば、ダルフールでは過去20年間で降雨量が40%減少しており、干ばつが同地域の摩擦をいっそう悪化させたとされる。(c)AFP