【10月12日 AFP】(10月13日写真追加)中国で前年に稼働開始した三峡ダム(Three Gorges Dam)の周辺地域に住む住民400万人を再移住させる計画が明らかになった。英字紙「チャイナ・デーリー(China Daily)」が12日、地元高官の話として報じた。同ダムに関しては、深刻な環境問題を引き起こす可能性を政府当局が指摘したばかり。

 同紙が地元当局の話として伝えたところによると、総面積600キロの世界最大の同ダム付近に住む400万人に対し、今後10-15年で近くの重慶(Chongqing)郊外への移住勧告が出された。共産党上層部もこの拡大移住計画を前月、承認しているという。

 重慶市副市長は、すでに人口稠密と工業化で危機にひんするダム周辺地域の貴重な自然を保護するためには、再移住が必要だと説明する。

 同地区では、今回の再移住計画以前にも、ダム建設時にすでに140万人が移住させられ、大きな社会問題を引き起こした。移住させられた住民への補償金数百万ドルを当局職員が着服するなどの事件も起きている。

 ダム反対派は、移住住民の多くが都市生活に不慣れなことから、大都市重慶で新たな生活を始めるにあたっても深刻な問題が発生するとの懸念を示している。

 失業者問題を抱える重慶市にとっても、非熟練移住者の大量流入は社会問題となると指摘する声もある。(c)AFP/Verna Yu