【10月8日 AFP】コンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で、絶滅の危機に瀕しているマウンテンゴリラが、同国軍と衝突する武装勢力の生息地占拠により生存を脅かされていると、野生保護プログラム「ワイルドライフ・ダイレクト(Wildlife Direct)」が7日、警告を発した。

 同プログラムによると、地元の有力指導者ローラン・ンクンダ(Laurent Nkunda)将軍率いる反政府武装勢力が、ビルンガ(Virunga)国立公園内のマウンテンゴリラ保護区を占拠しているという。

 広報担当のサマンサ・ニューポート(Samantha Newport)氏は、「反政府勢力がこの数日の戦闘で、ゴリラの保護区全域を占領した。戦闘が再開した5週間前より状況は深刻化している。生息調査を行っていたレンジャーも退避している状態となっている」と、同公園から南のゴマ(Goma)でAFP に対して語った。

 1月以降、ビルンガ国立公園では10頭のマウンテンゴリラが殺され、2頭が行方不明になっている。このうち数件はンクンダ将軍の部下が関与しているとみられ、動物保護活動家の激しい怒りを呼んでいる。

 野生のマウンテンゴリラは世界で約700頭しか残っておらず、生息地はルワンダ、ウガンダ、コンゴ(旧ザイール)の山岳地帯に限られている。

 コンゴはマウンテンゴリラのほか、チンパンジーとボノボの生息地でもあり、別名ピグミーチンパンジーとも呼ばれるボノボの生息数は、この15年で激減している。

 ンクンダ将軍はツチ(Tutsi)人。隣国ルワンダでは1994年、政府軍とフツ人の民兵組織によるツチ人の大量虐殺が発生しており、同将軍はコンゴ民主共和国のツチ系住民を守ることを反政府活動の目的と掲げている。(c)AFP/Bogonko Bosire