【9月14日 AFP】バイオエタノールをはじめとするバイオ燃料は、地球温暖化対策の一環として日本国内でも需要が増えつつある。しかしこれが、原料となる農産物の需要をも拡大し、予期せぬ影響を食品価格に及ぼしている。

 バイオ燃料の需要増による負の影響としては、発展途上国における食品価格の高騰が最も強く懸念されている。だが、日本のように食糧の海外依存度が高い一部先進諸国でも、そうした影響が実感され始め、バイオ燃料開発への加熱ぶりに批判が向けられる事態となっている。

 食糧自給率が十数年ぶりに40%を下回った日本では、すでに果汁やマヨネーズといったさまざまな食料品が値上がりしている。その影響は外食産業にも及び、カレーハウスCoCo壱番屋(Coco Ichibanya)は今月、約12%の値上げを実施した。

 また日清食品(Nissin Food Products)は5日、主力製品であるカップヌードルの価格を約20年ぶりに引き上げると発表した。

 背景には小麦相場の高騰がある。米シカゴ商品取引所(Chicago Board of TradeCBT)は1日、前週の1ブッシェル(約27キロ)7.42ドル(約850円)から急騰し、7.84ドル(約900円)の過去最高値で取引を終えた。
 
 農林水産省の統計によると、日本は国内需要の80%以上に相当する年間約500万トンの小麦を輸入している。

 政府は前月、小麦相場の高騰について、「経済成長著しい発展途上国での需要増」と併せ、「バイオ燃料生産のための需要拡大」を要因として指摘した。

 そのほかにも、キリン・トロピカーナ(Kirin Tropicana)が5月、かんきつ類相場の世界的な高騰を理由に果汁100%ジュースの価格を10-18%引き上げた。バイオ燃料の原料になるサトウキビへの転作がオレンジの供給不足を招いたことが要因だという。

 日本果汁協会(Japan Fruit Juice Association)によると、かんきつ類の主要輸出国であるブラジルでもここ数年、オレンジの需要が堅調であるにもかかわらず、栽培面積が減少する傾向にあるという。2005年7月には74万600ヘクタールだったが、2006年7月には72万2600ヘクタールまで減った。

 サトウキビの方が栽培しやすい上に、バイオ燃料の需要を反映したサトウキビ価格の上昇があいまって、ブラジルの農家の転作を促しているという。(c)AFP/Kyoko Hasegawa